著者
長坂 俊成 増田 和順
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.8-11, 2018

<p>近年、スマートフォンの普及に伴いラジオ放送のWeb化が進みつつある。しかしながら、そこで流される著作音源の管理はレガシーなモデルを継承し、アーティストやクリエータをインキュベーションしプロモーションするプラットフォームへの転換を阻害している。さらにWeb 環境が個人やコミュニティの環境を構成する時代の中で、音声文化をコミュニティの中でシェアし二次加工するなど、より自由に享受する利用環境が未整備のままである。コミュニティFMラジオ放送もサイマル放送によりWeb化に対応しているものの、Webメディアとしてのローカリティとグローバリティを活かしきれず、また、地域の参加型市民メディアとしての役割も果たせずに圏域放送を矮小化したビジネスモデルの域を出ないか、または、過度に自治体に依存する傾向にある。そこで、本発表では、既存の放送メディアに依拠しない新たなWebラジオによる文化資産の利用とアーカイブを通じた社会デザインとソーシャルイノベーションの可能性について展望する。</p>
著者
長坂 俊成
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.s102-s105, 2021

<p>東日本大震災から10年目を迎え、立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科は「復興過程を振り返り未来を構想する」ことをテーマとして、Webラジオアプリ(スマートフォンの音声アプリ)を用いて、被災当事者はじめ被災地支援にかかわった方々のナラティブを番組として記録・配信しアーカイブする取り組みに着手した。コミュニティベースのWebラジオに声を投稿するというオープンな音声アーカイブのプラットフォームの可能性を模索するものである。オーラルヒストリー(oral history)は聞き手と語り手の関係の中で語られる内容や語られた事実の評価も異なることがあるが、Webラジオベースのオーラルヒストリーは、実証科学の厳密な方法論としてではなく、個人の生の一回性としてナラティブを共有することや、歴史的事実に新たな解釈や深い洞察を可能とするメタな視座を与える営みでもあり、ボーンデジタルの時代における音声による人類史のアーカイブとして位置付けられる。</p>
著者
山田 正 萬矢 敦啓 安田 浩保 藤田 一郎 山田 朋人 清水 義彦 長坂 俊成
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、経験的要素を排除した数理科学的な河川計画のあり方を提示した。従来型の河川計画では、基本高水位や計画高水位は、決定論的に一つの値が決められ、それに基づいて計画が立案されてきたが、水文諸量には観測手法の違いやその精度といった不確実な要素を内包している。本研究の成果である不確実性を考慮した極値統計理論と流出解析手法より得られる水位の分布(不確実性)は、洪水時の避難情報発令タイミングを議論する素材として極めて有用であることを示した。さらに、従来は経験的に取り扱っていた流砂量や河道形状の抵抗を、不確実性として河川計画に取り込むことで、新たな社会認識に対応した数理科学的な計画手法を提示した。
著者
田口 仁 李 泰榮 臼田 裕一郎 長坂 俊成
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.1_101-1_115, 2015 (Released:2015-02-25)
参考文献数
34
被引用文献数
4

地理情報システム(GIS)は災害対応の際に有効なツールであるが、災害対応者自らがGIS を活用するために備えるべき要件について検討した研究はこれまで無かった。そこで本研究では、災害対応者が自らGISを利用して効果的に災害対応を行うために、1)地理情報の共有および流通のための標準インタフェース(Web Map Service)を有すること、2)Web-GIS を用いることの2つを満たすGISを提案した。2011年東北地方太平洋沖地震において、災害ボランティアセンターおよび地方自治体に対して、提案した要件を満たしたGIS(eコミマップ)による被災地支援を行った事例を示し、提案した2つの要件の有効性を確認した。