著者
片山 佳子 外山 剛之
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 68回大会(2016)
巻号頁・発行日
pp.172, 2016 (Released:2016-08-04)

目的 落花生は、様々な用途に使用され消費されているが、その加工工程において、薄皮は多量の産業廃棄物となる。しかし、落花生薄皮にはポリフェノールであるレスベラトロールが多く含まれていることから、高い抗酸化作用を持つと考えられる。そこで本研究では、この多量に廃棄されてしまう薄皮をお茶のような飲料として利用できないかと考え、ポリフェノール量および抗酸化活性を測定するとともに、官能評価による嗜好性を分析することを目的とした。方法 落花生薄皮1gに抽出温度(80,85,90,95,100℃)を変えた水200mLで20秒間抽出したものを試料液とした。ポリフェノール量の測定は、Folin-Denis法にて行った。抗酸化活性はラジカル消去能をDPPH法で測定し、Trolox相当量として算出した。嗜好型官能評価は、外観、香り、味、苦味、総合評価の5項目を5点評点法により評価し、分散分析法により検定を行った。結果 ポリフェノール量と抗酸化活性は、抽出温度が高くなるにつれて高い値を示し、抽出温度100℃が最も高い結果となった。これは水溶性の抗酸化物質であるポリフェノーが多く溶出されたためと考えられた。また、ポリフェノール量が多いほど高い抗酸化活性を示したことから両者には高い相関性があり、落花生薄皮茶の抗酸化活性の主体はポリフェノールであることが考えられた。官能評価は、当初、高温抽出では薄皮の渋味が懸念されたが高温の100℃抽出が総合的に好まれた。このことから落花生の薄皮茶は高い抗酸化活性をもつ飲料として利用できることが示唆された。