- 著者
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松本 美鈴
- 出版者
- 一般社団法人 日本家政学会
- 雑誌
- 一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 68回大会(2016)
- 巻号頁・発行日
- pp.105, 2016 (Released:2016-08-04)
目的 塩麹により牛肉が軟化し,うま味成分が増加することは,三橋等により既に報告されている.本研究では,塩麹を塗布した牛もも肉の保存条件および加熱条件などを変えて,塩麹による肉の軟化効果を検討した.方法 <10℃保存>牛もも肉に肉重量の10%塩麹(株式会社河野源一商店)または塩水(食塩濃度12%)を塗布し,それぞれ10℃で1,3および24時間保存し,沸騰水中で肉の中心温度が80℃に達するまで加熱後,冷却し試料とした.<25℃保存>牛もも肉に塩麹,塩水またはpH5に調整した塩麹を塗布し,25℃で1時間保存し,沸騰水中または低温(80℃水中で)加熱後,冷却し試料とした.<測定項目>加熱後の重量保持率,レオメーター(山電)を用いたテクスチャー試験によるかたさ,歪率,凝集性などを測定した.結果 <10℃保存>塩麹添加によりいずれの試料もかたさ変化率が無添加に比べて有意に小さく,やわらかくなった.また,保存時間が長いほど軟化しやすい傾向がみられた.一方,塩水添加試料では物性値に有意差がみられなかった.<25℃保存>沸騰水中加熱試料では,テクスチャー測定値に有意差がみられなかった.しかし,低温加熱試料においては,pH5調整塩麹試料は無添加および塩麹より凝集性が小さく,肉が崩れやすくなった.以上の結果より,塩麹による牛もも肉の軟化には,保存温度は25℃より10℃が好ましく,低温加熱が有効であることが分かった.