著者
堀 愛 中村 祥子 外平 友佳理 岩野 俊郎 谷口 初美
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.421-429, 2006-12-01

ヒトと動物の共通感染症は現在200種以上が知られており,動物園従業員(飼育係,獣医師など)にとって重要な産業保健上のリスクの一つである.動物園で感染症の伝播を防ぐためには,従業員,来園者,動物,そして施設(環境)のそれぞれに対する感染症対策が必要となる.本稿では,わが国の動物園感染症対策の先駆けとして某動物園において感染症対策システムを構築した事例を産業保健の観点から報告する.本システムは,1.通常時の感染症予防活動および2.感染症発生時に備えた危機管理体制の2つの要素から成る.また,事業所の実情に合致し地域に根ざした持続的な感染症対策システムとするため,産業医,獣医師,地域感染症対策チームなどの専門家が協働した.