著者
多々良 泉 辻 聡宏 御厨 初子 田中 政信 劉 蚊艶 小島 孝之 太田 英明
出版者
Japan Association of Food Preservation Scientists
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.15-20, 1999-01-30 (Released:2011-05-20)
参考文献数
13
被引用文献数
8 4

遠隔地からのイチゴは輸送振動による品質低下が指摘されている。そこで, 実輸送中に発生する振動を測定し, その振動がイチゴの呼吸速度および品質に及ぼす影響について検討した。振動を与える前のイチゴの呼吸速度 (CO2排出量) は5℃下で約30mg/kg/hr, 15℃下で約70mg/kg/hrであったが, 振動を与えるとそれぞれ50および84mg/kg/hrまで上昇した。また, 振動を止めると呼吸速度は減少し, 約1時間後には振動前とほぼ同等の値まで低下した。振動を与えたイチゴの外観品質は, 振動を与えなかったものより評点は低かった。また, 貯蔵温度の影響も大きく5℃で保持した方が15℃保持より評点は高かった。果皮の貫入抵抗値は振動を与えたイチゴの方が振動を与えなかったものより低く, 貯蔵温度では5℃のほうが15℃より高い値を示した。可溶性固形分, 滴定酸度及び全ビタミンC含量の内容成分は振動の有無, 貯蔵温度による差異は認められなかった。
著者
広田 雄二 徳田 眞二 多々良 泉 木下 剛仁 松雪 セツ子
出版者
佐賀県農業試験研究センター
雑誌
佐賀県農業試験研究センター研究報告 (ISSN:13405241)
巻号頁・発行日
no.37, pp.1-19, 2012-10

「さがびより」は「佐賀27号(後の「天使の詩」)と「愛知100号(後の「あいちのかおりSBL」)」の組合せから育成された良質・良食味品種で、2004年から「佐賀37号」の系統名で試験を重ね、2008年に品種登録の申請を行い、2011年に登録された。「さがびより」の特性は次のとおりである。1. 出穂、成熟期は「ヒノヒカリ」より3~5日遅く、北部九州の温暖地では"中生の晩"に属する。2. 稈長は「ヒノヒカリ」よりやや短く、穂長は同等、穂数も同等で、草型は"偏穂数型"である。3. やや短稈で、稈がやや太いため、耐倒伏性は「ヒノヒカリ」より優れる。4. 収量性は「ヒノヒカリ」より10%以上多収である。5. 玄米千粒重は「ヒノヒカリ」より1.0g重く、外観品質は「ヒノヒカリ」よりやや良い。6. 高温登熟性は"中"で、登熟期間が高温でも品質、収量の低下は小さい。7. いもち病圃場抵抗性は葉いもち、穂いもちとも"弱"である。白葉枯病の圃場抵抗性は「ヒノヒカリ」と同じ"やや弱"である。8. 食味は外観、味、粘り、総合値いずれも「ヒノヒカリ」に優る。