著者
大上 博基
出版者
水資源・環境学会
雑誌
水資源・環境研究 (ISSN:09138277)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.13, pp.27-34, 2000-12-25 (Released:2009-04-22)
参考文献数
8

植生や水辺からの蒸発散は、私たちが住む地域にとって、消費水量としての側面と熱環境を緩和する役割を併せもつ。本稿では、農地による熱環境緩和効果の定量的な評価を目的として、以下のことを明らかにした。(1)蒸発散によって地表面近くの熱環境を緩和する真夏の正午頃における水田の能力は、家庭用のエアコンが2~3m四方の地面に一台の割合で設置された状態に相当する。(2)水田は、湛水条件とイネの気孔開度の影響で表面の水分が比較的高く、植生の空気力学的特性によって熱や水蒸気の輸送能力が高いという二つの効果がはたらくため、水面、裸地、畑地よりも表面温度を低く抑制する。また、蒸発散による消費水量あたりの熱環境緩和効果は、水面や裸地よりも植生面のほうが高い。(3)潅漑農地は、風上の裸地や舗装地から輸送された熱の吸源になり、その風卞に大気の冷却効果をもたらす。その効果がローカルスケールで定量化できた。
著者
大上 博基 丸山 利輔
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.162, pp.143-150,a3, 1992-12-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
78

これまでに, 蒸発散算定式や蒸発散機構に関する研究が進展する過程で, 蒸発計蒸発量は基準蒸発量としての役割を果たしてきた。近年は, コンピュータ処理に馴染みかつ物理的に明解とされる蒸発散算定法が発展している。本報では, まず, 基準蒸発量算定を目的とした測定基準化へのあゆみと, 蒸発計蒸発量の問題点を整理する。次に, 測定基準と蒸発散算定法の確立のための研究を整理し, 基準蒸発量としての蒸発計の役割はほぼ達成されたと評価する。また, 蒸発計は実測, コスト, 簡便, 気象環境の反映という点で優れているため, 狭い地域や気象観測設備の不十分な地域での蒸発散研究では, 蒸発計蒸発量が重要な役割を果たすことを強調する。