著者
大久保 彰洋 岸本 達也
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.531-538, 2023-10-25 (Released:2023-10-25)
参考文献数
21

鉄道ネットワークの分析は,グラフ理論を用いた研究がいくつか行われている。しかし,空間ネットワークの構築に急行や快速などの列車種別は考慮されておらず,列車種別が多様化した複雑な交通ネットワークを解析することは困難であった。本研究では,東京都市圏の各路線において列車種別の停車駅および運転本数を考慮した鉄道ネットワークモデルを構築し,2018年の首都圏の PT調査の駅間トリップのODデータからより現実の移動に即した旅客流動および移動時間を再現した。そして鉄道ネットワークの解析から駅のアクセシビリティ評価に用いるための11の指標を提案した。さらに主成分分析とクラスター分析によって駅を5つのクラスターに分類し,各駅の特徴を定量的に評価した。これらの分類によって,駅ごとのアクセシビリティやコンパクト性が可視化され,列車の在り方が多様化した日本の複雑な鉄道ネットワークから都市構造を把握することができた。