著者
大久保 智恵 藤崎 智明 横田 英介 川崎 啓祐 大城 由美
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.10, pp.2598-2600, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
5
被引用文献数
3

Whipple病は放線菌近縁のグラム陽性桿菌Tropheryma whipplei(T. whipplei)感染により多彩な臨床症状を生じる全身感染症である.1907年の1例目の報告以来,世界各地から1,000例程度の報告があるが,中年以降の白人例が多く,本邦からの報告はまれである.当科に原因不明の遷延性下痢・低蛋白血症のため入院し,十二指腸生検の病理所見からWhipple病と診断し,抗菌化学療法で劇的な改善を認めた1例を経験した.Whipple病は抗菌薬がない時代は致死的疾患であったが,現在は抗菌療法で治療可能である.しかし,現在でも診断,治療が遅れると予後不良となるため,本邦においても留意すべきと考え報告する.