著者
大久保 直也 西川 英彦
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.24-39, 2017-03-31 (Released:2020-03-17)
参考文献数
45

本研究の目的は,ユーザー・イノベーションが生まれるイノベーション・コミュニティ,なかでも共創しつつその成果を活用して競争するミニ四駆のコミュニティを対象に,共創・競争志向と,ユーザー・イノベーションとの関係を実証的に明らかにするものである。本研究の発見としては,両志向は,ユーザー・イノベーションの質・量・活用という成果に対して異なる影響を与えていたことである。競争志向は,ユーザー・イノベーション活用の成果(競技成績)に正の影響を与え,一方の共創志向は,ユーザー・イノベーションの質(機能性)に正の影響を与えていたが,ユーザー・イノベーションの量(回数および発生の有無)に影響を与えてはいなかった。競争志向が低い場合にのみ,共創志向はユーザー・イノベーションの量に正の影響を与えていた。さらに,先行研究の整理によって,イノベーション・コミュニティを,非競争・開発型,非競争・活用型,競争・開発型,競争・活用型と4類型化したことも本研究の成果である。