著者
坂井 徹 大井 信一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.1977, no.3, pp.421-426, 1977
被引用文献数
2

懸濁気泡塔における気-液接触反応の物質移動抵抗を評価する目的で,パラジウムーアルミナ触媒によるα-メチルスチレンの液相水素化反応を行なった。<BR>物質移動抵抗のうち,気-液間抵抗(1/kLah)は単独に評価できるが,液-固間抵抗(1/ksaa)は反応抵抗を含む総括抵抗から分離しなければならない。水素の触媒表面濃度が化学反応速度と総括速度の比によって,ま塵反応抵抗と総括抵抗の比によって,ともに水素の気-液界面濃度に関係づけられるので,1/kLabの値と,通気ガキマゼ糟を用いて反応過程律速のもとであらかじめ求めた表面反応速度の値を用いて1/ksaa,を単離して評価できる。<BR>このようにして,両抵抗を別個に評価し,それぞれ懸濁気泡塔の操作変数(通気速度および触媒濃度)との関係を定量的に示した。また総括抵抗に寄与する各抵抗の割合と操作変数とめ相関性を求あた。ざずらに,ガスホホールドアップ,気泡径,気-液界面積および物質移動係数などと操作変数との関係を検討しほぼ妥当な結果を得た。
著者
大井 信一 赤坂 総一郎
出版者
富山大学
雑誌
富山大学工学部紀要 (ISSN:03871339)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.61-64, 1961-03

06/02/02 08:09ウラン光度定量において,過酸化水素,チオシアン酸塩,黄血塩その他の無機試薬を用いる方法は一般に簡便であるが,鋭敏度はわるい。有機試薬は一般に選択性に乏しいが鋭敏警はすぐれているものが多く例えば,ジベンゾイルメタン,2-アセトアセチルピリジン,オキシン,1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトール等がある。更に菅野によりケルセチンスルホン酸,フラボノール等のすぐれた試薬が報告された。之等有機試薬は妨害元素の分離又は隠ぺいの適当な方法を併用すれば,すぐれたウラン定量用試薬であり今後ますますこの種の有機試薬が見出されることと思われる。著者等はウランと錯化物をつくる事が報告された2,2'-ビベンズオキザゾリン,(以下BBOと略記する)およびビスサリチリデンエチレンジアミン,(以下,BSEと略記する)について光度定量用の試薬としての適用性について検討した。これらの試薬は何れも中性ないし弱アルカリ性においてウランと反応しBBO錯化合物はイソアミルアルコールに抽出されて青紫色,BSE錯化合物はクロロホルムに抽出されて黄色を呈しそれぞれ溶剤5ml中前者は2μg,後者は4μg迄のウランの定量が可能であることがわかった。鋭敏度はかなり良いが,鉄,コバルト,マンガン,ニッケル等とも反応し妨害をうけるのでこれらのイオンは予め除いておぐか,隠ぺいしなければならない。