- 著者
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原 俊介
大井 修吾
- 出版者
- 一般社団法人日本鉱物科学会
- 雑誌
- 日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2018年年会
- 巻号頁・発行日
- pp.160, 2018 (Released:2020-01-16)
滋賀県は琵琶湖を中心に美濃丹波帯と花崗岩体に囲まれており、花崗岩付近の美濃丹波帯は接触変成岩が分布する。本研究は変成温度の推定を目的とし、琵琶湖周辺のホルンフェルスの菫青石の三連双晶の有無に着目した。大文字山、大石地域、山女原地域、岳山北部、金糞岳、白谷地域の6地点からホルンフェルスを採取した。採取した岩石から薄片を作成し、偏光顕微鏡、走査型電子顕微鏡により観察した。大文字山、金糞岳の試料からは菫青石三連双晶が確認できた。大石地域の試料からは、芯と花弁からなる花弁状の結晶が観察でき、菫青石三連双晶が確認できた。山女原地域の試料からは、花弁はピナイト化しているが、先行研究のように菫青石三連双晶からなる芯が観察された。本研究の岳山北部の試料からはピナイト化した結晶しか観察できなかった。白谷地域の試料からも、菫青石三連双晶が観察できた。 田上・鈴鹿・田上・江若・貝月山花崗岩体との接触部の試料から菫青石三連双晶が観察できたため、滋賀県内の花崗岩体の接触変成部付近において、菫青石の三連双晶は一般的なものであると考えられる。三連双晶の形成条件からの変成温度を推定することが今後の課題となる。