著者
三宅 亮 松山 純子 寺坂 勇亮 角原 敦夫 松山 晋平 三宅 昌 柴田 信博
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.91-93, 2014-01-31 (Released:2014-07-30)
参考文献数
17

症例は27歳男性。食事後の炭酸飲料水の“一気飲み”(約500mL)直後に,突然の上腹部痛が出現し,救急車で搬送来院した。胸腹部造影CT検査で縦郭気腫と上腹部の遊離ガスを認めた。上部消化管破裂が疑われたため,水溶性造影剤(ガストログラフィンⓇ)による上部消化管造影検査を行った。胃体上部小弯側から造影剤の流出を認め,特発性胃破裂と診断し緊急手術を行った。胃体上部小弯側に,裂創部を認め,裂創部周辺は虚血変化がなかったため,裂創部を2層に縫合閉鎖して腹腔洗浄ドレナージを行った。術後経過は良好で,術後12日目に歩行退院した。炭酸飲料水の“一気飲み”による胃破裂は,本邦での最初の報告である。
著者
野口 高明 三宅 亮 松本 徹
出版者
九州大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2019-10-07

小惑星リュウグウ試料の分析班の,微小粒子の岩石鉱物学的研究を行うサブチームとして,大きさ50ミクロン程度より小さい試料について国際共同研究を行う。九州大学と京都大学において,微小粒子の形状・微細表面組織の観察,および,(S)TEMおよびSTXM-XANES分析を行うための試料加工をおよそ80試料について行う。これらの試料のうち60試料は九州大学と京都大学以外の研究機関での分析に供する。その他機関のおよそ6割は,米国・英国・ドイツ・フランスの研究機関である。本研究では,これらの機関に日本から試料を持って行きリュウグウ試料の国際共同研究を行う。
著者
松本 徹 Dennis Harries 仲内 悠祐 浅田 祐馬 瀧川 晶 土山 明 安部 正真 三宅 亮 中尾 聡 Falko Langenhorst
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

硫化鉄はコンドライトや彗星塵などの初期太陽系物質に遍く含まれているが、星間空間や星周環境でのFeやSの存在形態はよく分かっていない。星間空間では固相の硫化鉄がほとんど確認されず、その原因として星間イオンの照射による硫化鉄の破壊機構が提案されている[1]。一方で、S型小惑星表面では硫黄のみが顕著に少ないことが報告されており、これは太陽風(太陽から飛ばされる荷電粒子)の照射や微小隕石衝突による硫化鉄からの硫黄の消失が原因であると推測されている[2]。こうした宇宙空間に曝された物質の変成作用を広い意味で宇宙風化と呼ぶ。銀河におけるFeやSの進化を解明する上で、宇宙風化が引き起こす硫化鉄の変成を具体的に理解することは重要である。小惑星イトカワから回収したレゴリス粒子は宇宙風化の痕跡が保存され[3]、月レゴリスに比べて硫化鉄を豊富に含む。そこで本研究ではイトカワ粒子の観察から、これまで報告が乏しかった硫化鉄の宇宙風化組織を記載し、その変成過程を明らかにすることを試みた。まず、宇宙科学研究所にて走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて硫化鉄を含む11個のイトカワ粒子に対して、troilite(FeS)に注目して表面の観察を行った。その後2つの粒子に対しては、さらに集束イオンビーム装置(FIB)を用いて粒子の一部から厚さ約100nmの切片を切り出し、透過型電子顕微鏡(TEM)で切片の観察を行った。イトカワ粒子表面の観察の結果、ブリスター(水ぶくれ状の)構造がtroilite の表面に見られた。これらは粒子表面が太陽風照射を受けた証拠である[3]。一方で一部のtroilite表面はいびつで、ウィスカー状の組織がその表面から伸びていた。ウィスカーの幅は50nm-500nm、 高さは50nm-2μm 程度であった。ウィスカーは密集する領域で約500nmから1μm の間隔で存在した。TEM観察の結果troilite表面のウィスカーはα鉄であり、その伸長方向は低指数の結晶軸方向におよそ一致することが分かった。ウィスカーが発達しているtroiliteの表面下にはバブルで満ちた深さ90 nm程度の結晶質の層が存在し、ウィスカーはその最表面から発達していた。イトカワ粒子のバブル層は、太陽風の主要な構成イオンであるHイオンとHeイオンの蓄積に伴うH2・Heガスの発生により形成したと考えられる。本研究ではイトカワ粒子と比較するために硫化鉄への太陽風照射を模擬したH+照射実験も行なっており、同様のバブル構造が再現されている。イトカワ粒子表面のα鉄の存在は硫黄原子が粒子表面から失われたことを示唆している。その過程としては、硫黄の選択的なスパッタリングを引き起こす水素よりも重い太陽風イオンの打ち込み[4]や、バブル内部の水素ガスと硫化鉄との還元反応[5]などが考えられる。イトカワの近日点(0.95AU)での放射平衡温度(約400K)下において、硫化鉄中の鉄はウィスカー間の1μmの距離を10年程度の短い期間で拡散できるため[6]、鉄原子はtroilite中を拡散してウィスカーに十分供給される可能性がある。ウィスカーが低指数方向に成長していることは、成長方向を軸とする晶帯面のうち表面エネルギーの低い低指数面で側面を構成できるので、ウィスカーの表面エネルギーを最小化した結果であると考えられる。Feウィスカーの形態は、Ag2Sから発生するAgウィスカーやその他の様々な金属めっき表面で成長するウィスカーに類似している。それらの成長機構として提案されているようにtroiliteの内部応力に関連した自発的な成長[7]によってウィスカーが形成したのかもしれない。[1] Jenkins (2009) et. al. ApJ.700, 1299-1348. [2] Nittler et al. (2001) MAPS. 36, 1673-1695. [3] Matsumoto et al. (2015) Icarus 257, 230-238. [4] Loeffler et al. (2009) Icarus. 195, 622-629. [5] Tachibana and Tsuchiyama (1998) GCA. 62, 2005-2022. [6] Herbert et al. (2015) PCCP. 17, 11036-11041. [7] Chudnovsky (2008) 48th IEEE Conf., 140-150.
著者
塩谷 光彦 三宅 亮介 田代 省平 宇部 仁士 竹澤 悠典
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2009-04-01

本研究は、自己集合情報を内包した有機分子を合理設計し、金属イオンの特性を駆使した10 nmサイズの多成分系超分子の構築法を確立し、これらを「エネルギー変換」・「運動変換・伝播」・「物質変換・輸送」といった複合機能を有する超分子錯体システムに発展させることを目指した。その結果、複数の異なる基質分子(反応性有機分子、金属錯体等)の精密配列や変換反応を可能とする超分子反応場を構築し、分子配列の動的過程を世界で初めて観察することに成功した。また、金属イオンの自在配列、光エネルギーを用いた回転運動伝播制御、光駆動型多電子反応のための新しい超分子構造・機能モチーフの創出を達成した。
著者
竹原 順次 中村 公也 三宅 亮 森田 学
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.111-116, 2007-04-30
被引用文献数
1

本研究の目的は,女子中高生における口腔乾燥感の自覚頻度および口腔乾燥感に関連する要因を明らかにすることである.分析対象は,資料が整った女子中高生997名である.口腔乾燥感の自覚率において,高校生(51.6%)は中学生(37.1%)に比較し,有意に高い値を示した(p<0.01).また,ロジステイック回帰分析の結果,口腔乾燥感の自覚(ときどきおよびいつも)に対して有意な変数は,学年(OR=1.77,高校生),食事を抜く(OR=1.53,ときどきおよびいつも),ファーストフードを食べる(OR=1.55,ときどきおよびいつも),鼻づまり(OR=2.00,ときどきおよびいつも),口呼吸(OR=1.55,ときどきおよびいつも)およびストレスを感じる(OR=2.02,ときどきおよびいつも)であった.以上より,口腔乾燥感の自覚率は,女子中学生に比べ女子高校生のほうが有意に高く,食習慣,鼻づまり,口呼吸およびストレスは口腔乾燥感の自覚に関連する要因であることが示唆された.
著者
平島 崇男 北村 雅夫 下林 典正 中村 大輔 大沢 信二 三宅 亮 小畑 正明 山本 順二
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

地下深部流体活動の実態解明を目指し、顕微ラマン分光分析器を導入し、流体包有物の同定システムを構築した。この機器を用いて、日本や海外の地下深部岩石中の流体包有物の研究を展開した。その結果、三波川変成岩中の石英脈から地下25km付近で岩石中にトラップされた地下深部初生流体を初めて見出すことに成功した(Nishimura et al., 2008)。また、Pseudosection法とモード測定から、塩基性変成岩において、ローソン石の出現・消滅に伴う含水量変化(Matsumoto & Hirajima, 2007)や、硅質変成岩中の含水量を明らかにした(Ubukawa et al., 2007)。