著者
加藤 宏郎 坂口 守彦 大井 康之 丸尾 信 豊田 薫
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.76-83, 2000-05-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
21
被引用文献数
6

魚介類の官能的鮮度評価法に代わる迅速かつ簡便な鮮度評価方法の1つとして, 10kHz以上の高周波域での電気的評価方法の開発を試みた。電気インピーダンスやその要素の周波数特性による材料評価法はインピーダンススペクトロスコピー法とも呼ばれ, 生物組織では損傷や鮮度低下など細胞レベルの劣化情報を迅速に得ることができる。本報では, マダイ背肉部分の抵抗・リアクタンスなどの周波数特性や複素インピーダンス軌跡の氷蔵期間中の変化を測定し検討した。その結果, 鮮度変化に伴い明らかに変動する実用的鮮度指標として, 電極分極インピーダンスが微小となる10kHz~1MHzの高周波域から算出した Cole-Cole の円弧半径, 異なる周波数 (10kHzと1MHz) における抵抗比と差, 中心緩和周波数, リアクタンスのピーク値などを選び出した。