著者
宋 興安 平田 孝 坂口 守彦
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.282-290, 2000-03-15
被引用文献数
3 11

4種の魚類の筋肉と内臓に含まれる一般成分と含窒素エキス成分を分析し比較した。筋肉と内臓の間ではタンパク質と灰分の含量は大きな差異がなく, 脂質の含量は普通肉よりも肝臓, 血合肉の方に比較的高い傾向がみられた。エキス成分中のIMPは魚種を問わず, 普通肉に多く, その他の組織に少なかったが, 内臓にはGMPが比較的多いことがわかった。含窒素エキス成分の含量は魚種, 組織ごとに違うが, 内臓では不明の部分が多いことがわかった。Glu, IMPおよびGMPの含量から算出したエキスの旨味の強さは普通肉の方が必ずしも大きいとは言えなかった。また魚種を問わず, Gluは内臓の旨味に, IMPとGMPは普通肉のそれへの寄与度が大きかった。
著者
坂口 守彦 佐藤 健司
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.8, pp.504-509, 1998-08-25 (Released:2009-05-25)
参考文献数
13
被引用文献数
4 4
著者
加藤 宏郎 坂口 守彦 大井 康之 丸尾 信 豊田 薫
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.76-83, 2000-05-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
21
被引用文献数
6

魚介類の官能的鮮度評価法に代わる迅速かつ簡便な鮮度評価方法の1つとして, 10kHz以上の高周波域での電気的評価方法の開発を試みた。電気インピーダンスやその要素の周波数特性による材料評価法はインピーダンススペクトロスコピー法とも呼ばれ, 生物組織では損傷や鮮度低下など細胞レベルの劣化情報を迅速に得ることができる。本報では, マダイ背肉部分の抵抗・リアクタンスなどの周波数特性や複素インピーダンス軌跡の氷蔵期間中の変化を測定し検討した。その結果, 鮮度変化に伴い明らかに変動する実用的鮮度指標として, 電極分極インピーダンスが微小となる10kHz~1MHzの高周波域から算出した Cole-Cole の円弧半径, 異なる周波数 (10kHzと1MHz) における抵抗比と差, 中心緩和周波数, リアクタンスのピーク値などを選び出した。
著者
村田 道代 安藤 正史 坂口 守彦
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.462-468, 1995-06-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
27
被引用文献数
1 12
著者
石田 祐三郎 田中 克 坂口 守彦 吉永 郁生 左子 芳彦 内田 有恒 深見 公雄
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1988

有用魚類の稚仔魚の成育、変態、着定などの生理およびそれらを促進する細菌および微細藻の生理活性物質を究明し、さらにそれら有用因子の遺伝子導入技術を応用し、魚類生産に貢献するとともに、魚類生理態学や水産微生物学の発展に資することを目的とした。得られた成果は下記の通り。1.ヒラメの変態期には、胃や幽門垂の分化・甲状腺の顕著な増加・胸腺組織の成熟など消化系・内分泌系・リンパ系諸器官に顕著な変化が観察された。変態後期コルチゾルの濃度上昇に続いて甲状腺ホルモン(T_4)濃度が著しく上昇した。これらの器官の発達やホルモンレベルには顕著な水温依存性が確認された。以上の知見より、ヒラメの変態期には多くの器官の分化や体の仕組みの変化とホルモンレベルの一過性の急上昇が集中して生じることが明らかとなった。2.ヒラメ稚仔魚の着定を促進する微生物をPVAに固定して探索し、微細藻としてChattonella antiquaを、細菌としてAcinetobacter sp.SS6ー2株を得た。それぞれを分画し、着定促進が認められたのは、C.antiquaのエタノ-ル不溶画分とSS6ー2株のアセトン不溶性画分であった。3.稚魚の摂餌誘引や成長促進をする微細藻の探索を行い、渦鞭毛藻類、とりわけCrypthecodinium cohniiが有効であり、その成分がジメチル・スルフォプロピオン酸(DMSP)であることを見出した。DMSPはメチオニンから脱炭酸酵素によりメチルチオプロピオン酸(MTP)を経て生合成されることを明らかにし、現在本酵素の精製を行っている。4.C.cohniiに、PEG法によってカナマイシンの耐性遺伝子とGUS遺伝子をもつプラスミドpUC19の導入を試み、耐性株にGUS活性の上昇がみられた。5.緑藻アナアオサのプロトプラストを調整し、それを再生し、葉状体形成型と仮根葉状体形成型の2タイプを得た。それらプロトプラストに遺伝子導入を試みているがまだ成功していない。