著者
大井 正典 本山 直樹
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.475-480, 1991-08-20

殺虫剤の相乗作用の大きさはおのおのの薬剤の解毒酵素に対する親和性, 解毒速度および解毒酵素の存在下での作用点阻害のI_<50>値によって予測できるという理論的解析の結果を証明するために, in vitro実験を行なった.単一の酵素(ブタ肝カルボキシルエステラーゼ)(CE)による解毒と作用点(電気うなぎAChE)阻害のみが含まれる単純なモデルを用いて, 相乗作用の予測に必要な各パラメータを求めたところ, マラオクソンとパラオクソンおよびマラオクソンとジクロルボスの組合せが最も相乗作用の条件を満たしていた.各種組合せによるAChE阻害のI_<50>を比較したところ, 上記の組合せは実際に高い相乗作用を示し, また, 相乗作用の最も大きくなる混合比は薬剤単独でのI_<50>の比に等しかった.以上の結果はコンピュータシミュレーションによる理論的解析の結果を支持した.