著者
駒形 修 本山 直樹
出版者
日本環境動物昆虫学会
雑誌
環動昆 (ISSN:09154698)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.83-94, 2004

市販されている木酢液, 竹酢液および木炭生産現場より採取した自家製粗木酢液について, 主要成分の分析と植物病原菌に対する抗菌活性の検定を行った. 含有成分とそれらの濃度は, 市販品では製品によって大きな違いが見られた. また自家製粗木酢液の品質は採取温度によって異なり, 特に煙の採取温度が高いものについては大きな違いが見られた. 供試した木酢液からは, 酢酸の他に, メタノールやホルムアルデヒド, およびフェノール類等の毒性物質も検出された. 木酢液一般としての安全性の評価は, 資材によって品質に差があるために困難であると判断された. 培地上の灰色かび病については室内試験で抗菌活性を示すものも見られたが, いずれの資材についても実際の植物体上では, 灰色かび病, べと病, うどんこ病に対する防除活性はほとんど認められなかった.
著者
ラハマン G. K. M. M. 本山 直樹
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.387-391, 2000
参考文献数
21

有機リン殺虫剤クロルピリホスの畑土条件下での残留性を千葉と松戸の黒ボク土を用いて土壌の滅菌処理, 温度(15, 25, 35℃)や水分(20, 30, 40%)を変えて室内実験により研究した.土壌からメタノールで抽出後, 85%リン酸処理によって残留するクロルピリホスを遊離させ, 再びメタノールで抽出した.遊離したクロルピリホスは千葉土壌で最大18%, 松戸土壌で10%検出されたが, 長期間土壌中に残留した.土壌中の半減期は千葉土壌で28日, 松戸土壌で14日であり, 温度の上昇に伴って分解は速くなった.メタノールで抽出されない残留体は千葉>松戸であり, 有機炭素含量と正の相関を示し, 土壌有機物への吸着が示唆された.両土壌とも滅菌処理によって分解速度は遅くなったが, 遊離するクロルピリホスは酸処理によってあまり差がなかった.
著者
ラハマン G. K. M. M. 本山 直樹
出版者
Pesticide Science Society of Japan
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.387-391, 2000
被引用文献数
3

有機リン殺虫剤クロルピリホスの畑土条件下での残留性を千葉と松戸の黒ボク土を用いて土壌の滅菌処理, 温度 (15, 25, 35℃) や水分 (20, 30, 40%) を変えて室内実験により研究した. 土壌からメタノールで抽出後, 85%リン酸処理によって残留するクロルピリホスを遊離させ, 再びメタノールで抽出した. 遊離したクロルピリホスは千葉土壌で最大18%, 松戸土壌で10%検出されたが, 長期間土壌中に残留した. 土壌中の半減期は千葉土壌で28日, 松戸土壌で14日であり, 温度の上昇に伴って分解は速くなった. メタノールで抽出されない残留体は千葉>松戸であり, 有機炭素含量と正の相関を示し, 土壌有機物への吸着が示唆された. 両土壌とも滅菌処理によって分解速度は遅くなったが, 遊離するクロルピリホスは酸処理によってあまり差がなかった.
著者
本山 直樹
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.523-526, 1984-08-20

1983年夏, 栃木県益子の豚舎において, ペルメトリン空間噴霧によるイエバエ防除効果が劣化してきたという報告を受け, 同年9月に確認のための現地試験を行なった.薬剤処理前と後において, 各種方法によりイエバエ成虫数の推移ならびにノックダウン状態からの蘇生率を調査して比較したところ, 明らかに防除効果が著しく低いことがわかった.このハエを実験室に持ち帰り, 増殖後そのまま, または薬剤で2, 3回淘汰後, 各種ピレスロイド剤, p, p'-DDTおよび有機リン剤に対する感受性を局所施用法でしらべた.対象には標準的感受性系統の高槻系を供試した.その結果, LD_<50>値でみても, 抵抗性比でみても, わが国で過去に例をみないほど強力なピレスロイド抵抗性が発達していることがわかった.このハエは有機リン剤にも交差抵抗性を示したが, P, P'-DDTに対しては高槻系と差がなかった.供試したすべての殺虫剤のLD_<50>値は, ピペロニルブトキシドを前処理することによって著しく低下したので, このハエのピレスロイド抵抗性のメカニズムとしては, よく知られているkdrまたはsuper-kdr geneによる神経の感受性の低下ではなく, 薬物酸化酵素系による解毒能力の増大が主要因である可能性を示唆した.
著者
大井 正典 本山 直樹
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.475-480, 1991-08-20

殺虫剤の相乗作用の大きさはおのおのの薬剤の解毒酵素に対する親和性, 解毒速度および解毒酵素の存在下での作用点阻害のI_<50>値によって予測できるという理論的解析の結果を証明するために, in vitro実験を行なった.単一の酵素(ブタ肝カルボキシルエステラーゼ)(CE)による解毒と作用点(電気うなぎAChE)阻害のみが含まれる単純なモデルを用いて, 相乗作用の予測に必要な各パラメータを求めたところ, マラオクソンとパラオクソンおよびマラオクソンとジクロルボスの組合せが最も相乗作用の条件を満たしていた.各種組合せによるAChE阻害のI_<50>を比較したところ, 上記の組合せは実際に高い相乗作用を示し, また, 相乗作用の最も大きくなる混合比は薬剤単独でのI_<50>の比に等しかった.以上の結果はコンピュータシミュレーションによる理論的解析の結果を支持した.