著者
平澤 典保 大内 和雄
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.65-71, 2005-02-01 (Released:2013-06-01)
参考文献数
24

炎症のchemical mediatorであるprostaglandin (PG) E2は, 急性炎症反応だけでなく, 慢性炎症にも関与していることが明らかにされてきた。ここでは, cyclooxygenase (COX) -2に由来するPGE2が肉芽組織における血管新生に関与していることについて, 筆者らのラットのカラゲニン空気嚢型炎症モデルにおける研究成果を中心に最近の知見を紹介する。ラット背部皮下に作製した空気嚢内にカラゲニン溶液を注射すると3日後から6日後に血管新生を伴う肉芽組織の増大が見られた。COX-2選択的阻害薬NS-398及びCOX-1/COX-2阻害薬indomethacinは滲出液重量, 肉芽重量及び血管新生の増大を抑制し, COX-2は炎症反応だけでなく, 血管新生にも関与していることが示唆された。NS-398は滲出液中の血管内皮増殖因子 (VEGF) 量を低下させたこと, PGE2はin vitroにおいて, 肉芽組織によるVEGF産生を増大させたことから, COX-2に由来するPGE2がVEGFの産生を誘導し, 肉芽組織中の血管新生を増大させることが示唆された。さらにPGE2のVEGF産生誘導機序についても言及する。
著者
石原 研治 Hong JangJa Zee OkPyo 大内 和雄
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.125, no.5, pp.265-270, 2005 (Released:2005-07-01)
参考文献数
48
被引用文献数
1

気管支喘息などのアレルギー性疾患では,白血球の1つである好酸球が骨髄,末梢血および炎症部位で増加し,炎症部位に浸潤した好酸球は細胞内顆粒を放出することによって組織を傷害すると考えられてきた.しかし,最近,炎症部位に浸潤した好酸球は,炎症の誘発ではなく気道リモデリングに関与しているのではないかということが示唆され,病態形成における好酸球の役割に対する認識は変化しつつある.本稿では,最近の知見をふまえ,アレルギー性炎症における好酸球増多機構と炎症部位での好酸球の役割について述べる.