著者
市川 俊英 大原 賢二
出版者
香川大学農学部
雑誌
香川大学農学部学術報告 (ISSN:03685128)
巻号頁・発行日
vol.61, no.114, pp.1-10, 2009-02

ハナアブ科(Syrphidae)のハチモドキハナアブ族(Cerioidini)には稀少種が多く、成虫期の生息場所や生活様式が明らかにされた種はこれまでに記載されてきたほぼ200種の中のわずかに過ぎない。日本に分布している種はハチモドキハナアブMonoceromyia pleuralis(Coquillett)、ケブカハチモドキハナアブPrimocerioides petri(Herve-Bazin)およびヒサマツハチモドキハナアブCeriana japonica(Shiraki)の3種である。筆者らは1999年から2008年まで香川県の高松市とさぬき市でケブカハチモドキハナアブ成虫とヒサマツハチモドキハナアブ成虫の行動に関する調査を晴天の日中に行ってきた。ケブカハチモドキハナアブ成虫は2005年、2007年および2008年の調査において4月上旬から4月下旬にかけてケヤキの樹幹で発見された。それらの成虫の中で、雄4個体はいずれも樹皮に直径3mm内外の小孔が開いた樹液滲出箇所周辺の樹幹表面に各々単独で静止していた。雄と同じく各々単独で同様の樹液滲出箇所周辺にいた雌4個体は腹部末端を腹面側に曲げた状態で歩行しており、その状態で静止して産卵行動を取っていた。1999年5月下旬には同一のヤマハゼ雄花に飛来したヒサマツハチモドキハナアブ雌雄成虫各々1個体が発見された。2007年の5月中旬にはケヤキの樹幹に飛来したヒサマツハチモドキハナアブ雌成虫2個体が発見された。これらの雌成虫は、上記ケブカハチモドキハナアブ雌成虫と同様の体勢で歩行し、その状態で静止して樹液滲出停止後15日以内の小孔の周辺で産卵行動を取っていた。本研究で扱った2種ハチモドキハナアブ族における成虫の出現時期、産卵植物の選択および訪花習性に影響を及ぼしてきた可能性がある要因について特に種間競争と関連付けて考察した。
著者
市川 俊英 大原 賢二
出版者
香川大学農学部
雑誌
香川大学農学部学術報告 (ISSN:03685128)
巻号頁・発行日
vol.61, no.114, pp.1-10, 2009-02

ハナアブ科(Syrphidae)のハチモドキハナアブ族(Cerioidini)には稀少種が多く、成虫期の生息場所や生活様式が明らかにされた種はこれまでに記載されてきたほぼ200種の中のわずかに過ぎない。日本に分布している種はハチモドキハナアブMonoceromyia pleuralis(Coquillett)、ケブカハチモドキハナアブPrimocerioides petri(Herve-Bazin)およびヒサマツハチモドキハナアブCeriana japonica(Shiraki)の3種である。筆者らは1999年から2008年まで香川県の高松市とさぬき市でケブカハチモドキハナアブ成虫とヒサマツハチモドキハナアブ成虫の行動に関する調査を晴天の日中に行ってきた。ケブカハチモドキハナアブ成虫は2005年、2007年および2008年の調査において4月上旬から4月下旬にかけてケヤキの樹幹で発見された。それらの成虫の中で、雄4個体はいずれも樹皮に直径3mm内外の小孔が開いた樹液滲出箇所周辺の樹幹表面に各々単独で静止していた。雄と同じく各々単独で同様の樹液滲出箇所周辺にいた雌4個体は腹部末端を腹面側に曲げた状態で歩行しており、その状態で静止して産卵行動を取っていた。1999年5月下旬には同一のヤマハゼ雄花に飛来したヒサマツハチモドキハナアブ雌雄成虫各々1個体が発見された。2007年の5月中旬にはケヤキの樹幹に飛来したヒサマツハチモドキハナアブ雌成虫2個体が発見された。これらの雌成虫は、上記ケブカハチモドキハナアブ雌成虫と同様の体勢で歩行し、その状態で静止して樹液滲出停止後15日以内の小孔の周辺で産卵行動を取っていた。本研究で扱った2種ハチモドキハナアブ族における成虫の出現時期、産卵植物の選択および訪花習性に影響を及ぼしてきた可能性がある要因について特に種間競争と関連付けて考察した。