- 著者
-
植田 貴宏
西田 哲也
大原 順一
田中 辰彦
浦 啓助
浦田 和也
池上 康之
- 出版者
- 水産大学校
- 雑誌
- 水産大学校研究報告 (ISSN:03709361)
- 巻号頁・発行日
- vol.62, no.2, pp.75-83, 2014-03
このように,日本近海においてもOTECの設置に有望な海域は存在するが,特に沖ノ鳥島は日本の排他的経済水域内で唯一熱帯に区分され,日本近海におけるOTECシステム設置可能な候補地の中で最も適した地域の一つと考えられる。しかし,実際に沖ノ鳥島近海におけるOTECを用いて海洋エネルギーの利用と水産資源の開発を行う場合,まずOTEC設置のための設計資料としての海洋物理データ(水温,塩分,溶存酸素等)が必要であり,OTECの副次的な多目的利用として水産資源開発を行う場合には,海域における栄養塩類の鉛直分布等の把握が必要となってくる。しかし,沖ノ鳥島における気象,海象調査や表層の海洋物理データについては,他研究機関により継続的に行われているが,その周辺海域における各層における海洋物理データ,栄養塩類についての海洋調査は,ほとんど行われていない。本報は,2006年1月に水産大学校練習船耕洋丸を用いて沖ノ鳥島海域での海洋調査を行い,OTEC設置のための設計資料と水産資源開発に必要な各調査点における各層海洋物理データ及び栄養塩等の調査結果について報告する。