著者
和嶋 隆昌 吉塚 和治 志水 倫恵 浦田 和也 中岡 勉 一瀬 純弥 田淵 清春 鎌野 忠 池上 康之
出版者
DEEP OCEAN WATER APPLICATION SOCIETY
雑誌
海洋深層水研究 (ISSN:13458477)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.17-22, 2006-10-25 (Released:2010-06-28)
参考文献数
9

海洋深層水からのリチウム回収を目的としてパラオおよびフィジー海域における海水中のLi+分布の調査およびLi+回収において妨害となる海水中の主要イオン分布の調査を行った.両海域の各地点においてLi+濃度は約0.15-0.16mg/Lの一定濃度で鉛直方向に分布していた.海水中の主要共存イオンであるNa+, K+, Mg2+, Ca2+, Cl-, Br-, SO42-についても同様に鉛直方向に一定であった.これらの海域の海水は実証試験に用いた伊万里湾表層水の化学組成とほぼ等しかった.実証試験に用いたλ-MnO2吸着剤は, 低温である海洋深層水から表層海水よりも効率的なLi+吸着を示した.これらのことより, パラオおよびフィジー海域中には, Li+及び共存主要イオンはほぼ一様の分布をしており, 低温のパラオおよびフィジーの海洋深層水から, λ-MnO2吸着剤を用いて効率的なリチウム回収が期待できる.
著者
池上 康之 佐々木 大 合田 知二 上原 春男
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.68-73, 2005 (Released:2013-02-19)
参考文献数
10
被引用文献数
1

本論文では, スプレーフラッシュ蒸発海水淡水化において, ノズルからの噴流方向が蒸発現象に及ぼす影響を明らかにするために, 上向き噴流式スプレーフラッシュ蒸発海水淡水化装置による実験結果と, 従来の下向き噴流式の実験結果との比較検討を行った. 実験は, 海洋温度差発電や工場廃熱利用で考えられる温排水温度である24, 30および40℃の過熱液を, ステンレス製の円筒ノズルから, 飽和温度以下に減圧した減圧容器に上向きに噴射して行った.ノズルは, 円筒形で内径は20mm, 長さは813mmであり, 噴流方向の違いが液温度降下に与える影響を明らかにするため液温度などを計測した. 減圧容器に噴射する過熱液の平均流速は, 1.74-3.62m/sの範囲内に設定し, 減圧容器内に噴射された過熱液の温度は, 噴流軸上に設置した測温抵抗体により計測した. そして, 計測した上向き噴流式の実験結果と, 上原らにより報告された下向き噴流式に関する液温度降下データおよび提案されている整理式との比較を行った.その結果, 上向き噴流式の方が, 同条件における下向き噴流式よりも, 急速に蒸発が完了することが観察された. よって, 上向き噴流式スプレーフラッシュ蒸発海水淡水化法が, 装置の更なる小型化ならびに高効率化を可能にすることが考えられる.
著者
植田 貴宏 西田 哲也 大原 順一 田中 辰彦 浦 啓助 浦田 和也 池上 康之
出版者
水産大学校
雑誌
水産大学校研究報告 (ISSN:03709361)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.75-83, 2014-03

このように,日本近海においてもOTECの設置に有望な海域は存在するが,特に沖ノ鳥島は日本の排他的経済水域内で唯一熱帯に区分され,日本近海におけるOTECシステム設置可能な候補地の中で最も適した地域の一つと考えられる。しかし,実際に沖ノ鳥島近海におけるOTECを用いて海洋エネルギーの利用と水産資源の開発を行う場合,まずOTEC設置のための設計資料としての海洋物理データ(水温,塩分,溶存酸素等)が必要であり,OTECの副次的な多目的利用として水産資源開発を行う場合には,海域における栄養塩類の鉛直分布等の把握が必要となってくる。しかし,沖ノ鳥島における気象,海象調査や表層の海洋物理データについては,他研究機関により継続的に行われているが,その周辺海域における各層における海洋物理データ,栄養塩類についての海洋調査は,ほとんど行われていない。本報は,2006年1月に水産大学校練習船耕洋丸を用いて沖ノ鳥島海域での海洋調査を行い,OTEC設置のための設計資料と水産資源開発に必要な各調査点における各層海洋物理データ及び栄養塩等の調査結果について報告する。
著者
野田 信雄 池上 康之
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.69, no.680, pp.901-908, 2003-04-25
被引用文献数
4

The purpose of this paper is to explain the optimum extraction condition of Uehara cycle under Ocean Thermal Energy Conversion (OTEC). We studied about the optimum condition of extraction which makes cycle efficiency highest, because cycle efficiency depends on condition of extraction. And we studied about influence of the performance of the regenerator to the cycle efficiency.