著者
大友 邦子
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.1_78-1_83, 2021

<p>本作品群は、国内でも稀有な規模で多様な繊維関連事業者が集積する群馬県桐生市で実施された、繊維製品(ストール類)ブランド化事業の試作開発事例である。本論は、当該事業のデザイン提案から製品試作までの展開を主題としている。前年度に実施された同産地の調査事業の結果から課題傾向を考慮し、事業者独自の技術の強みの活用、集積型産地ならではの協働的生産を試行する提案が目的に掲げられた事業であった。本事業では地域内外の人材で組織された専門委員会によって、世界でも同市内の鳴神山のみで自生する、絶滅危惧種植物のカッコソウがキービジュアルに選定された。統括的な産地ブランディングへの初段階として、複数事業者との実験的な製品試作を実施し、筆者は8製品の図案と色調を設計した。その過程において各人材が解決に取り組むべき項目が把握された。本試作事業の実施結果から、今後の展開に向けた課題点を考察した。</p>
著者
大友 邦子 山中 敏正
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第58回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.88, 2011 (Released:2011-06-15)

なぜ、人の手で描かれるゆらぎを含んだ線は、私たちをひきつけるのだろうか。テキスタイルデザインに包括されるプリントデザインは、繊維製品や生地にのせられる連続性のある図柄=パターンをデザインする領域である。 特筆すべきはその領域が工業デザインに類別されながらも、デザイナーのドローイングにはじまる点であろう。PCでのデザイン作成手法が主となっている現状に反し、手描線の表現性の高いパターンを特徴とするマリメッコ社が日本市場でめざましく台頭するなど、近年の消費者動向には手描き線ならではの「あたたかみ」あるパターンへの支持がみられる。こうした背景から、本研究では印象評価を用いて手描線特有の肯定的な素因を抽出することを目的とした。 試料は線の集合で構成されるストライプパターンを採用し、コンピュータソフトと手で描いたパターン双方を同被験者群に評価させた。日本と前述のマリメッコ社を主要繊維メーカーにもつフィンランド両国において、比較的調査実験を行った。結果手描線における評価は総じて好評価を得て、且つ両国それぞれに特徴的な嗜好傾向がみられる結果となった。