著者
後藤 英昭 新妻 共 大和 純一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J100-D, no.5, pp.584-594, 2017-05-01

国際的な学術系無線LANローミング基盤であるeduroamは,世界約80か国(地域)に普及しており,キャンパス無線LANのデファクトスタンダードになっている.日本では,欧州各国と比較して格段に多い約1,200の高等教育機関が存在することから,eduroamの早急な展開を行うために,国内のeduroam運用を行う組織の負担をできるだけ小さくすること,各機関のeduroam導入・運用コストを抑制すること,及び,スケーラブルで安定な認証連携基盤を構築することが課題としてあった.これらの課題に対処するため,我々は,各機関で行う利用者認証の処理を代行する集中型認証システムを開発し,2008年から国内の大学等に試験的にサービス提供してきた.この8年間の運用において,冗長化による可用性向上や,オンラインサインアップなどの機能拡張を行い,システムの改良を進めてきた.当システムは40以上の機関に利用されるに至り,当初の目的どおりにeduroam導入の敷居を下げるのに加えて,学会会場等におけるゲストアカウント発行など,新しいサービスの創成にも貢献した.
著者
大谷 寛之 相場 雄一 大和 純一 青木 久幸
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.43-44, 1997-03-12

近年、データベースの大規模化、マルチメディアサーバの発展に伴い、大容量、高スループットアクセスが可能なファイルシステムの需要が高まっている。そこで我々は、多数の記憶装置が接続されたワークステーションクラスタシステム上で動作する並列ファイルシステム (MFS)^1 を開発した。しかし、クラスタシステムでは、個々の装置の障害によって全体がその影響を受けるために、フォールトレラントや、障害リカバリーが重要な課題である。本稿ではMFSにおける障害リカバリー後の整合性検査機能について記述する。一般にファイルシステムにおいて障害が発生した後は、ファイルシステムの整合性検査が必須である。これは、障害でシステムダウンしたことにより、メモリ中に存在していたファイルキャッシュの内容と、記憶装置上に残された内容に矛盾が生じている可能性があるためである。この処理は、すべてのファイルの管理情報を調査するため、比較的コストを要する処理である。特に、多数の記憶装置から構成される大規模なファイルシステムにおいては、膨大なコストを要する。そこで、検査処理の高速化を目的とし、並列的に検査処理を実行する並列検査機能の実装を行なった。