著者
三浦 知之 大園 隆仁 村川 知嘉子 矢野 香織 森 和也 高木 正博
出版者
宮崎大学農学部
雑誌
宮崎大学農学部研究報告 (ISSN:05446066)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.17-33, 2005-03
被引用文献数
2

宮崎港の北に位置する阿波岐原公園には、9.6haの一ツ葉入り江があり、潟湖干潟が形成される。宮崎市内にあり、市民の立ち入りやすい公園内にあることなどから、極めて重要な意味をもった干潟であると考え、2001年から2004年まで、生物相の調査を行った。記録された貝類は、36種(腹足綱16種、掘足綱1種、二枚貝綱19種)であった。フトヘナタリ科巻貝のフトヘナタリCerihidea(Cerihidea)rhizophorarumは南奥部の潮間帯上部で密度が最大で104個体/m(2)を、カワアイC.(Cerihideopsilla)djadjariensisが北部の砂泥地の潮間帯下部で32個体/m(2)を、ヘナタリC.(Cerihideopsilla)cingulaaが南奥部の潮間帯上部で8個体/m(2)を記録した。また、日本本土では絶滅に近い状態にあるムシロガイ科のカニノテムシロPliarcularia bellulaが入り江の南端に普通に見られた。二枚貝類でも絶滅寸前と評価されているムラサキガイSoleellina adamusiiがごく普通に見られる。一ツ葉入り江から出現し記録された十脚甲殻類は、14科34種であり、カニ類だけでも6科26種に達した。飛来した湿地性鳥類は、8目12科39種であった。このような貴重な生物相と都市の中に位置する特徴から、一ツ葉入り江は多様性の保全と環境教育の啓蒙の視点で極めて重要な湿地であると結論された。