著者
大坂 克之
出版者
北海道教育大学
雑誌
情緒障害教育研究紀要 (ISSN:0287914X)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.169-182, 1998-02-10

筆者と中学1年の女の子,晴華ちゃんとのかかわりは,約10年に達しようとしている。この間,本人だけでなく,お兄ちゃんやお姉ちゃんとも英語の指導というかかわりを数年間もつことができた。2・3年前ぐらいから,「晴華ちゃんは大坂先生のコピーだ」と家族内では言われているとのこと。楽しく明るく,大声で笑い歌い,うるさいぐらいに口数が多く,口調や雰囲気が似ているらしい。筆者の提唱する「ミュージック・ムーブメント」の活動そのものが筆者自身であり,筆者の弾く音楽は筆者自身であるので,そのことは,当然といえば当然のことである。が,かかわった者として「喜び」と同時に「恐ろしさ」を感じるこの頃である。ミュージック・ムーブメントを通しての晴華ちゃんとのかかわりの10年間め概要を報告する。
著者
大坂 克之
出版者
北海道教育大学
雑誌
情緒障害教育研究紀要 (ISSN:0287914X)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.161-171, 1999-02-10

平成10年1月9日,今年の最初のレッスンの日に,お母さんが自らワープロで作成した生育歴とコメントを持ってきてくれた。既に筆者は聞き取り調査をまとめていたのであるが,それを読んで感激した。大変な作業だったことは間違いない。お父さんからの手紙もそうであるが,子どもたちへの想いの強さや夫婦観・家族観に感銘を受けている。この御家族そして子どもにミュージック・ムーブメントを通して何をサポートできるのだろうか,日々前向きに悩んできた一年間の研究報告である。能力の開発や伸長,改善は大変重要なことであるが,子どもたちや家族の居場所と居心地の良さの確保と拡大がむしろ大切なことではないか,と考えるようになった昨今である。それに対してミュージック・ムーブメントで何を試し得るかを求めての奮闘中の研究報告の一部である。