著者
大城 まみ 森山 克子 我那覇 ゆりか 名嘉 裕子 田原 美和
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」の一環として,1960~1970(昭和35~45)年頃までには,定着していた家庭料理の中でも,本報では,沖縄県の行事食・日常食のおやつについて紹介する。<br />【方法】1.行事食・日常食として食べられているおやつについて,平成24~26年度の聞き書き調査報告書,その後の補足調査,文献等を基に整理する。2.聞き書き調査は,沖縄県の北部(本部町崎本部),中部(読谷村宇座・沖縄市登川),南部(那覇市与儀),宮古(宮古島市伊良部町),八重山(石垣市登野城)の5地域で行った。<br />【結果】この時期に定着していたおやつの中で,次世代に伝え継ぎたい沖縄のおやつは,行事食として,ムーチーは,旧暦12月8日に月桃(サンニン)の葉に包んで蒸した餅を食べた。子どもの健康・成長を祈願し,また鬼餅ともいうように悪鬼悪霊退散を祈る厄払いとする習わしがある。フチャギは,旧暦の八月十五夜に供え物として,細長い楕円形の餅の表面に,茹でた小豆をまぶした餅を食べた。宮古では黒小豆を使用する事が特徴である。行事食・日常食ともに食されていたのはサーターアンダギー(砂糖天ぷら)で結納などの祝いごとに欠かせない品であり,現在は日常食のおやつとしても食べられている。チンビンは旧暦の5月4日に子どもの健康祈願などで食べられた。日常食では,だしに小麦粉と卵とニラ等を混ぜ,クレープ状に焼いたヒラヤーチー,細かく切った豚肉と味噌を炒め,砂糖等で調味して作ったあぶら味噌を薄焼きの皮で巻いたポーポーがある。