著者
吉田 剛 鷲尾 隆 大城 敬人 谷口 正輝
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

急速に発展している先端計測技術の膨大な出力は複雑でノイズが多く,計測対象の高精度推定やノイズ除去のために機械学習技術を適用する必要性が高まっている.ところが既存の標準的機械学習は対象の母集団分布が変わらないことを前提とするベイズ推定を基にしている.そのため例えば,統計的に非定常な計測ノイズを除去するには,対象分布に依存しない最尤推定原理に基づいた新しい手法が必要となる.本研究では計測ノイズ除去のために,最尤推定原理に基づき多数のラベルなし事例と少数の正例からPU分類器(Positive and Unlabeled Classification)を学習する原理の検討を行った.そしてこの検討PUC手法を,現実の計測ノイズ除去問題に適用し,高精度・高ロバストな性能を得た.
著者
吉田 剛 大城 敬人 鷹合 孝之 谷口 正輝 鷲尾 隆
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第31回全国大会(2017)
巻号頁・発行日
pp.2I3OS10a3, 2017 (Released:2018-07-30)

一分子計測技術に期待が高まっている.ただし計測には常にノイズ混入という問題がつきまとい,これはナノスケールにおいて非常に顕著となる.我々はPU Classificationを用いてノイズのみデータを学習することで,実測データからノイズのみを除去し試料データを適切に取得することを試みた.特に研究開発中の一分子DNAシーケンサに応用した.このノイズ除去効果の有無による識別精度の差異について報告する.
著者
大城 敬人
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.351-362, 2017-05-05 (Released:2017-06-08)
参考文献数
48
被引用文献数
1

ギャップ電極デバイスを用いたトンネル電流による単分子分析法を開発している.これは,ギャップ電極間を試料分子が通過する際,分子を介したトンネル電流の増加量から単分子ごとにコンダクタンスを計測し,分子を電気的に検出する方法である.この方法を用いることで,核酸塩基やアミノ酸分子などの個々の化学種の違いを,コンダクタンスの大きさとして検出することに成功した.これは分子計算によると分子ごとの電子状態の違い,特に最高被占軌道(HOMO)レベルの違いを反映したものと考えられる.さらに,核酸塩基鎖やオリゴペプチドなどの高分子をギャップ電極間に通過させて計測することで,コンダクタンスの大きさの時間変化から,高分子鎖の配列情報を読む可能性を見いだした.今後こうした単分子分析技術に,分子制御技術を組みあわせた集積デバイスの開発を進め,様々な生体高分子へ展開可能な単分子シーケンサーとすることで,個別医療を実現する要件を満たす次世代シーケンサーの技術開発へと進めていきたい.