- 著者
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大城 敬人
- 出版者
- 公益社団法人 日本分析化学会
- 雑誌
- 分析化学 (ISSN:05251931)
- 巻号頁・発行日
- vol.66, no.5, pp.351-362, 2017-05-05 (Released:2017-06-08)
- 参考文献数
- 48
- 被引用文献数
-
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ギャップ電極デバイスを用いたトンネル電流による単分子分析法を開発している.これは,ギャップ電極間を試料分子が通過する際,分子を介したトンネル電流の増加量から単分子ごとにコンダクタンスを計測し,分子を電気的に検出する方法である.この方法を用いることで,核酸塩基やアミノ酸分子などの個々の化学種の違いを,コンダクタンスの大きさとして検出することに成功した.これは分子計算によると分子ごとの電子状態の違い,特に最高被占軌道(HOMO)レベルの違いを反映したものと考えられる.さらに,核酸塩基鎖やオリゴペプチドなどの高分子をギャップ電極間に通過させて計測することで,コンダクタンスの大きさの時間変化から,高分子鎖の配列情報を読む可能性を見いだした.今後こうした単分子分析技術に,分子制御技術を組みあわせた集積デバイスの開発を進め,様々な生体高分子へ展開可能な単分子シーケンサーとすることで,個別医療を実現する要件を満たす次世代シーケンサーの技術開発へと進めていきたい.