著者
大塚 敬義 内海 彰 奥村 学
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.61, pp.19-26, 2001-05-11
被引用文献数
3 2

文章の自動要約を行う際に脱落した先行詞を補完することは, 文章の結束性を保つ上で重要である. 本研究では要約文中に出現する「この」「その」「あの」などのコソア系列の連体詞形態指示詞を取り扱う. 新聞の解説記事を対象とした自動要約の過程で, 脱落した先行詞を文単位でなく語句単位で推定して補完処理を行うことにより, 要約文の結束性を維持しつつ文字数を抑えることに成功している. 具体的には先行詞の候補となる形態素を複数取り出し, 表層的表現を手がかりとし, またシソーラスを用いて先行詞となる最適な名詞を選択する. その名詞に係る直前の要素が, 体言か用言かに応じて複数の形態表を結合させた先行詞句を生成する.