著者
大宜見 義夫
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.301-308, 1995-09-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
3
被引用文献数
1 2

咳, 鼻水, 鼻閉, 悪心, 悪寒, 頭痛, 腹痛などの急性症状を訴える患者に対して漢方製剤がしばしば即効性を示すことがある。筆者は, 急性症状を呈する患者に漢方製剤を投与する際, 証の判定に迷ったり, 決定した処方の有効性を確認したい時,「確認投与」と称して, 漢方製剤を外来で投与し, 30分以内でその効果を確かめる方法を行っている。これまで行った確認投与の中から, 対象として選んだ339例について漢方エキス製剤 (ツムラ) による即効性の検討を行った。使用回数の多かった漢方エキス製剤は, 麻杏甘石湯, 五苓散, 人参湯, 半夏厚朴湯, 真武湯, 半夏瀉心湯, 黄連解毒湯, 川〓茶調散などであった。70%以上の有効性を示した主なエキス製剤は, 苓甘姜味辛夏仁湯, 川〓茶調散, 安中散, 半夏瀉心湯, 小青竜湯, 麻杏甘石湯, 麦門冬湯, 真武湯などであった。外来での, 即効性を生かした確認投与は, 証の判定や処方の決定に際して有用である。