著者
大室 ひな 神田 佑亮
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.I_835-I_845, 2019 (Released:2019-12-26)
参考文献数
9

我が国の航空政策は1980年代から規制緩和として運賃設定の自由化等が進められてきた.2000年以降はLCCと呼ばれる新規航空会社の参入等が積極的に進められてきたが,その影響を定量的に評価した研究は少なく,特に2000年以降の影響は明らかとなっていない.本研究では2000年までの影響を評価した既往の研究をベースに,2000年以降の規制緩和の影響について,レガシーキャリアのネットワーク,正規運賃,路線距離と運賃の関係,モデル分析による実効運賃水準の時系列変化等に着眼点し,航空会社の収益状況 とあわせて定量的に分析することを目的とする.分析の結果,2000年以降,レガシーキャリアの正規運賃の上昇,地方路線網の衰退などの負の影響が明らかとなった.また,正規運賃の上昇に反し,実効運賃水準の上昇が確認されない結果も得られた.