- 著者
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長谷川 夕希子
春日 崇臣
奥山 尚美
三浦 順之助
大屋 純子
内潟 安子
- 出版者
- 一般社団法人 日本糖尿病学会
- 雑誌
- 糖尿病 (ISSN:0021437X)
- 巻号頁・発行日
- vol.60, no.6, pp.449-455, 2017-06-30 (Released:2017-06-30)
- 参考文献数
- 13
症例は46歳男性である.13歳時に1型糖尿病を発症し,インスリン治療を開始された.10代より運動時の低血糖のためインスリンを減量し,30代より糖質制限を行い持効型溶解インスリン1回法に変更,HbA1c 7 %前後で経過した.45歳,当科に入院時,我々は1型糖尿病における糖質制限の有効性,安全性に関する報告は少なく動脈硬化性疾患のリスクとなること,インスリン減量がケトアシドーシス発症の危険となることを繰り返し説明し,炭水化物比50~60 %の食事を勧めた.しかし,現時点では動脈硬化性疾患やケトーシスの既往はなく,患者の強い意向に沿った糖質制限食とインスリン1回法を容認せざるを得なかった.その危険性を十分に患者に説明するとともに,慢性合併症やケトーシスのモニタリング等,慎重に経過観察する必要がある.厳密な糖質制限と持効型インスリン1回法を長期間継続した1型糖尿病の症例は希少であるため,報告する.