著者
大山 賀己 竹之内 高志 石井 信
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.542, pp.337-342, 2008-03-05

近年,ECOCの枠組に基づき,多値判別問題を複数の二値判別問題に分解することによる多値判別手法が考案されている.確率モデルに基づく復号法が提案され,有効に働くことが報告されている.これらの手法においては,前もって与えられた符号表と呼ばれる行列を用いて二値判別問題への分解が行われるが,符号表をどのように設計するかは未解決問題であり,そのため用いる符号表の大きさに起因する計算コストを削減することが重要な課題となっている.本研究では,上記の問題を解決するために符号表の一部を階層的に用いる新たな多値判別手法を提案し,また提案手法を複数回行った結果を上手く混合して最終的な復号を行うアンサンブル手法も提案する.提案手法を人工データやUCIデータセットを含む様々な多値判別問題に適用した数値実験を通じて,提案手法がハミング復号や多クラスSVMのような他の多値判別手法に対して優越または匹敵する性能を有し,またクラス数の大きな多値判別問題に対して高速な計算時間を実現していることを示す.