著者
大岩 康太郎 安井 敬三 長谷川 康博
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.93-97, 2016 (Released:2016-03-08)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

症例は50歳男性.36歳時に発症し,43歳時にパーキンソン病(Parkinson’s disease; PD)と診断した.首下がり,wearing-offが出現し,すくみ足と易転倒性が悪化し入院した.ロチゴチンの投与を開始し,歩行障害および首下がりの日内変動を記録した.首下がりは歩行障害とほぼ平行して変動した.歩行障害はロチゴチンの増量で用量依存的に改善した.一方,首下がりはロチゴチン9 mgで改善したが,18 mgでは改善度が低下した.低用量ではundertreatmentで生じていた首下がりが改善し,高用量では薬剤誘発性の首下がりが出現した可能性がある.PDの姿勢異常に対しては,日内変動を観察し,治療方針を検討する必要があると考える.