著者
大島 和臣 出口 利定 今泉 敏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.695, pp.31-36, 2005-02-24
参考文献数
5
被引用文献数
3

高機能の自閉症スペクトラム障害児20名と健常児28名を対象に、音声から話者の意図を理解する能力を検討した。音韻情報(辞書的意味)が肯定的な短文と否定的な短文を、肯定的・否定的どちらかの感情を持って成人女性が話した音声を、皮肉や冗談を表す音声として用いた。韻律課題では話者の感情を、表情-韻律課題では話者の感情と話者の表情を判断した。その結果、両課題において自閉症スペクトラム障害児は課題の正答数が健常児よりも有意に少なかった。また、課題に文脈情報を加えても同じ傾向を示した。この結果は、音韻情報と韻律情報を分離する能力と、韻律情報と表情を適正に統合し話者の発話意図を理解する能力が加齢に応じ発達するものの、健常児よりも低いことが示された。