著者
玉井 輝雄 林 保 沢田 精二 中村 卓 大崎 博志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-II, エレクトロニクス, II-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.537-545, 1996-11-25
被引用文献数
8

機構デバイスの接触信頼性の観点から,酸化されやすく,広く接触部材料として用いられている銅(Cu)に着目して,その接触面に生ずる酸化皮膜の成長を,室温から573K (300℃)までの温度範囲で詳細に調べた.酸化時間,酸化温度,および酸化皮膜の厚さの3者の関係から酸化皮膜の成長則を求めた.その結果,373K (100℃)付近を境として,それより低温度領域では,酸化の初期には2乗則で,中期以降は順次に3乗則,4乗則となることが明らかとなった.これに対して,上記温度以上の高温度領域では,酸化の初期は直線則で,中期以降は順次2乗則,3乗則となることが認められた.また,この温度を境として活性化エネルギー等の酸化の定数が変化することが判明し,酸化反応の機構が異なることを考察した.更に,上記の低温度領域では皮膜の成長が低いので,接触抵抗に及ぼす酸化皮膜の影響は低く,この温度を超えると皮膜が著しく成長し,接触抵抗への酸化皮膜の影響は著しく増大する.また,室温における酸化皮膜の成長と高温度における酸化皮膜の成長の比較から,高温酸化における加速率を求めた.