著者
斎藤 博之 山内 五郎 高井 健一 菅原 宣義 林 幸成
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-II, エレクトロニクス, II-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.81, no.3, pp.342-348, 1998-03-25
被引用文献数
1

無線アンテナ等の通信装置に雪氷が付着して通信回線に問題が生じることがある.これを未然に防ぐためにはっ水材料の実用化が期待されている.本論文では, 高性能の塗料型はっ水材料による着雪氷の防止性能, 着氷が電波反射に及ぼす影響の軽減について検討を行った.結果は以下のとおりである.(1)水の接触角が150度, 氷の付着力が0.1kgf・cm^-2の新しいはっ水材料を開発した.(2)このはっ水材料を塗装したアルミニウム板では+1.5℃でも雪が明確な摩擦角を示した.(3)試料に着氷が生じている間, 電波反射には影響がなかった.(4)試料上の着氷が融解する際に, アルミニウム板やエポキシ樹脂を塗装したアルミニウム板では電波の反射強度は減少するが, はっ水材料を塗装したアルミニウム板では反射強度は減少しない.
著者
磯野 春雄 安田 稔 竹森 大祐 金山 秀行 山田 千彦 千葉 和夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-II, エレクトロニクス, II-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.16-23, 1993-01-25
参考文献数
9
被引用文献数
3

本論文では,特別なメガネをかけなくても立体画像を見ることができる液晶投写形の多眼式3次元テレビジョンシステムについて述べる.本システムの3次元画像表示方式は,4台で構成された立体テレビカメラからの映像信号を電子的に画素単位で合成してストライプ像を作り,この像を1台の高性能ハイビジョン液晶プロジェクタを用いてレンチキュラスクリーンの背面に投写するものである.これにより50インチの画面に明るく鮮明なフルカラーの4眼式立体テレビ画像を表示することができた.このシステムの特徴はメガネが不要であることのほかに,従来の2眼式メガネなし立体テレビ方式に比べて,異なる視点からの立体映像を見ることができるほか立体観察視域が広がり,見やすさと自然さが改善された.本論文では新しく試作した4眼式3次元テレビジョン装置のシステム構成,レンチキュラスクリーン,4眼式立体テレビカメラ,立体画像記録装置等について述べる.
著者
池崎 秀和 林 健司 山中 章己 立川 理江子 都甲 潔 山藤 馨
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.J74-C2, no.5, pp.434-442, 1991-05-25

筆者らは,既に人工脂質膜を用いたマルチチャネルの味覚センサの特性が,人間の味覚特性と非常に類似していることを示した.本論文では,計測方法の改良を行うことで,センサの再現性をより高め,微妙な味の差の識別を可能とし,工業的な味の計測の実用化を計ることを目的とする.改良点は,以下のとおりである,第1は,絶対値測定から,センサにあらかじめ味のバイアスをかけた相対値測定にした点である.これにより,センサのトランスデューサ部は被検液に侵されにくくなり,繰返し使用が可能となった.第2は,センサに一定周期で外乱を与え,これに同期させて計測を行う点である.これにより,センサ出力が安定するまでの待ち時間が大幅に短縮でき,また,外乱による影響を受けなくなった.これらの結果,測定の再現性を飛躍的に向上させることに成功し,人間以上の詳細な味の識別が可能となった.そして,相対値測定の際のバイアスの変動や,測定時間の長さに測定結果が依存しないことを実験的に示し,これらの改良の妥当性を示す.更に実際の食品への適用例を挙げ,その有効性を示す.
著者
松田 静雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-II, エレクトロニクス, II-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.81, no.10, pp.833-837, 1998-10-25
被引用文献数
1

筆者は結合線路型3極真空管(以下では真空管と略記)の伝搬定数を分布定数結合線路理論に基づいて解析的に求めた結果, 適当な静電的装荷を行うと伝搬定数の実部と虚部が反対符号となることを根拠として真空管が利得伝搬になり得るとの結論を得た[1].本論文では通常の3極真空管回路と電磁気学の両面より利得伝搬となるメカニズムについて考察している.
著者
杉本 等 曽根 秀昭 高木 相
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-II, エレクトロニクス, II-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.77, no.9, pp.371-376, 1994-09-25
被引用文献数
20

Agコンタクトにおける,アークと性能(接触抵抗,消耗転移)の関係の詳細を分析する目的で,毎回動作ごとのアーク継続時間と接縦抵抗を同時に測定する実験を行った.従来から,接触抵抗は,メタリック相のみで終わるアークが続けば低く安定し,ガス相まで移行するアークが続けば高くなることが筆者らの実験から知られている.本論文では,両者の関係がアークのメタリック相とガス相の両相でいかに異なるかを見るため,電流条件を2.5〜3.5Aに設定しガス相移行率を変化させ実験を行った.その結果,アーク継続時間とアーク直後の接触抵抗との間に強い相関があることを明らかにした.アークがガス相へ移行しなければ接触抵抗は40mΩ程度で安定する.ガス相へ移行するアークがあった直後に,接触抵抗は3〜40mΩ程度上昇する.ガス相へ移行するアークが更に続けば,動作ごとに3〜10mΩ程度ずつ増大し10mΩ程度まで高くなる.その後メタリック相のみで終わるアークが発生すれば,接触抵抗は100mΩ程度から動作ごと3〜10mΩ程度ずつ低下し,10回から20回続けげ40mΩ程度の低い値に安定することが明らかとなった.
著者
大沢 寿 岡本 好弘 斎藤 秀俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-II, エレクトロニクス, II-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.81, no.4, pp.393-412, 1998-04-25
被引用文献数
73

近年, ディジタル記録機器の高密度化の要望は高まる一方である.本論文では, 対象を磁気ディスク装置やディジタルVTRなどのディジタル磁気記録機器に限定し, その高密度を図るための手段としての信号処理技術について述べる.まず, その基礎となるパーシャルレスポンス方式, ビタビ復号法, PRML(Partial Response Maximum Likelihood)方式について詳述する.次いで, 長手磁気記録において最近盛んに検討されている各種信号処理方式について概観する.また, 高密度記録となるほど誤り率特性劣化の要因となるパーシャルイレージャ等の非線形ひずみを考慮した非線形ひずみ対応信号処理方式についても, 最近の研究動向を踏まえた検討を行い, 各種方式の性能評価を行う.更に, 将来の高密度記録方式として期待されている垂直磁気記録のための信号処理方式についても触れる.
著者
作田 幸憲 佐々木 英樹 星野 光晴 関根 好文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-II, エレクトロニクス, II-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.77, no.9, pp.363-370, 1994-09-25
被引用文献数
9 1

水晶発振器は従来から高安定な周波数発生源として利用されているが,近年では温度変化や経時変化に対する発振周波数の変化が小さいことのほか,出力信号のスペクトル純度の優れていることが必要になっている.スペクトル純度を改善する方法の一つとしては水晶振動子を装着時の発振回路のQ,いわゆる負荷Qを下げないように回路を設計することが重要となるが,従来から負荷Qに着目した論文は理論的な検討が多く,実際上,発振回路の負荷Qをどのように評価すべきかについてはあまり検討されていない.そこで,本論文ではまず水晶発振回路の負荷Qの評価法について検討した.その結果,負荷Qは発振回路を開回路にし,入出力電圧の位相-周波数特性の傾きから算出する方法で評価可能であることを確認した.また,負荷Qが水晶振動子の無負荷Qと回路内の損失分によって決まることより,回路内の損失分を負性抵抗回路によって補償する負荷Qの改善法を提案し,負荷Qを水晶振動子の無負荷Q以上に改善できることを明らかにした.また,負荷Qの改善によって出力信号スペクトルの半値幅が狭くなることを実験的に確認した.
著者
椿原 啓 橋本 秀之 小西 健一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-II, エレクトロニクス, II-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.81, no.11, pp.886-888, 1998-11-25
被引用文献数
1

低濃度NMP溶液からキャスト製膜したポリアニリン膜を硫酸水溶液に浸漬し, ドープしてその導電率を求めた.硫酸水溶液の濃度の増加に伴い導電率は単調に増大し, pH=0.8以上で飽和に達した.重量変化, X線回折スペクトルによる構造変化から硫酸濃度がpH=2を超えると分子鎖間が拡大し硫酸イオンが導入され新たな結晶化が進み導電率が大きく増加することがわかった.
著者
池田 一二 冨田 安志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-II, エレクトロニクス, II-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.76, no.10, pp.621-628, 1993-10-25
参考文献数
10
被引用文献数
39

後2世代のカレントコンベア(CCII)に電流フォロワ回路を付加した4端子対能動素子のカレントコンベア(CFCCII)を用いた電流モードバイカッドフィルタの一回路形式を提案している.提案回路は電流加算器と2個の電流積分器によって構成されている.本構成は,CFCCIIの出力端子を接地または結線する回路変更で,すべての電流モード2次伝達関数が実現できる.各フィルタは高出力インピーダンスであり縦続接続が可能である.また,各フィルタのω_0,Q_0は独立に設定でき,Q_0は受動素子の比によって決まり,素子感度も0.5以下と低い,受動素子はすべて接地形であるのでIC化に有利である.更に,CFCCIIの不完全性の伝達関数への影響を検討した結果,ω_0は主としてCFCCIIの電流変換係数の影響を受け,Q_0は不完全積分器の影響を受ける.また,フィルタの動作限界周波数はQ_0の変化の許容値で決まることを示す.実際に,各フィルタを構成し実験によって良好な動作を確認している.
著者
玉井 輝雄 林 保 沢田 精二 中村 卓 大崎 博志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-II, エレクトロニクス, II-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.537-545, 1996-11-25
被引用文献数
8

機構デバイスの接触信頼性の観点から,酸化されやすく,広く接触部材料として用いられている銅(Cu)に着目して,その接触面に生ずる酸化皮膜の成長を,室温から573K (300℃)までの温度範囲で詳細に調べた.酸化時間,酸化温度,および酸化皮膜の厚さの3者の関係から酸化皮膜の成長則を求めた.その結果,373K (100℃)付近を境として,それより低温度領域では,酸化の初期には2乗則で,中期以降は順次に3乗則,4乗則となることが明らかとなった.これに対して,上記温度以上の高温度領域では,酸化の初期は直線則で,中期以降は順次2乗則,3乗則となることが認められた.また,この温度を境として活性化エネルギー等の酸化の定数が変化することが判明し,酸化反応の機構が異なることを考察した.更に,上記の低温度領域では皮膜の成長が低いので,接触抵抗に及ぼす酸化皮膜の影響は低く,この温度を超えると皮膜が著しく成長し,接触抵抗への酸化皮膜の影響は著しく増大する.また,室温における酸化皮膜の成長と高温度における酸化皮膜の成長の比較から,高温酸化における加速率を求めた.
著者
桑村 信博 谷口 研二 浜口 智尋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-II, エレクトロニクス, II-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.221-228, 1994-05-25
被引用文献数
25

単一電子トンネル現象では個々の電子の動きそのものに意味があり電流という概念はほとんど意味をなさないため,この現象を応用した回路の解析には従来からの回路シミュレーションの手法が適用できない.そこで我々は個々の電子の動きを扱うことのできるモンテカルロシミュレータを作成し,このシミュレータを利用してTucker^(1)によって提案されている疑似CMOSインバータ回路の過渡的な動作特性を評価した.その結果,負荷容量の値によって疑似CMOSインバータ回路の出力が異なってくることがわかった.また動作速度についても,1aFの容量をもったトンネル接合が精度良く作製できれば約10psの伝達遅延時間が可能であるという結果を得た.更にインバータ出力分布の標準偏差を調べることにより,インバータ回路を集積化した場合の動作温度の限界について定量的な考察を行った.
著者
池田 正則 岩本 幸也 長嶋 直之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-II, エレクトロニクス, II-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.82, no.4, pp.190-196, 1999-04-25

NH_4F水溶液でエッチしたSi(100)表面におけるFの結合状態, 及び大気放置による自然酸化膜成長中のFの振舞いについて, X線光電子分光法により調べた. NH_4F水溶液でエッチしたSi(100)表面からのF1sスペクトルは, HF水溶液浸漬表面からのそれと同様に, Si-F及びSi-F_2結合に相当する二つのガウス型波形に分離できた. NH_4F水溶液でエッチした表面におけるFの大部分はSi-F_2結合として存在する. この表面を大気放置した場合, 表面の自然酸化膜成長とともに, F1sピーク強度は増大して極大に達した後, 減少した. また, 二つのF1s分離成分の結合エネルギーは高エネルギー側にシフトした. このことから, FはSi表面のみではなく, 深さ方向の分布をもって存在していると考えられる. また, 大気放置による自然酸化膜の成長によって, Fの位置は酸化膜表面へ変化するものと考えられる.
著者
伊藤 信和 霍 大成 山田 義明 菊田 邦子 吉川 公麿
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-II, エレクトロニクス, II-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.78, no.5, pp.273-280, 1995-05-25

Al-Si-Cuリフローによる,高アスペクト比コンタクトホール埋設の可能性を明かとするため,コンタクトホールの形状や,リフローを行う際のAlに対する下地膜が,埋込性に与える影響を検討した.埋設を可能とするためには,リフロー前のコンタクトホール側壁に,一定以上のAl-Si-Cu膜厚が必要となることが判明した.コンタクトホール側壁のAl-Si-Cu最少膜厚,すなわちステップカバレージは,おもにコンタクトホールのアスペクト比に依存し,このことからリフローによる埋込特性は,コンタクトホールのアスペクト比によって制限されている.更に,リフローの際の下地膜にTiあるいはTiSi_2を用いることにより,コンタクトホールでのAl-Si-Cu必要最少膜厚を減少させることができ,その結果,埋設可能なアスペクト比が向上する.またTiSi_2下地は,Ti下地を用いた場合には避けることのできないアロイスパイクの発生を防止することができ,Alリフローを用いたコンタクトホール埋設の際の下地膜として有望な材料である.
著者
森末 道忠 上田 和宏 坂本 政祐
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-II, エレクトロニクス, II-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.82, no.7, pp.398-406, 1999-07-25
被引用文献数
5

非同期式ディジタル回路を実現するための新しい単一磁束量子(SFQ)の一線式論理回路を提案している. 従来の非同期式計算機回路では, アクノリッジ(acknowledge)信号やリクエスト(request)信号を用いるハンドシェイク(handshak)方式が一般に用いられているが, ここではその欠点を補う方式の回路を考案した. ここで用いる方式は論理"1"をSFQの正方向信号, 論理"0"を負方向信号に対応させた一線式の方式であり, これにより"0"の入力信号を明確認識して, 非同期でシステムを動作させることができる. このような方式でのディジタル回路として排他的論理和回路, 否定回路及びAND回路を提案し, シミュレーションにより動作の確認を行っている. 排他的論理和回路の例では, 動作遅延速度は13ps/ゲート, 消費電力は24nW, 動作マージンは±36%であることを示した.
著者
押田 京一 小林 稔 古田 照実 遠藤 守信 オバラン アグネス
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-2, エレクトロニクス 2-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.80, no.12, pp.421-426, 1997-12-25
被引用文献数
1

炭素材料の結晶構造やアモルファス組織などの微細組織の解明には, 透過電子顕微鏡(TEM)観察は非常に有効な手段である. TEM像のコントラストに関して検討するため, 炭素材料の一つであり配向性のないランダムな構造をもつアモルファスカーボンフィルムを試料として用いて, 異なる非点収差ΔfにおいてTEM観察し, Δfの違いによるTEM像の変化を調べた. また, TEM像をディジタル化してコンピュータに取り込み解析した. 2次元高速フーりエ変換により求めたパワースペクトルの解析から, 画像処理によってもTEM像の光回折パターンとほぼ同等なパワースペクトルを得られることがわかった. パワースペクトルの動径方向の積分からΔfとTEM像の等価関数との関係を検討し, 画像処理を用いた本手法はアモルファスカーボンフィルムのように特徴が明確でないTEM像の解析に特に有効であることを示した.
著者
青柳 秀和 橋本 章 木下 彬 青野 朋義 佐藤 倬暢
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-II, エレクトロニクス, II-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.76, no.11, pp.722-729, 1993-11-25
被引用文献数
2

陽極化成の重要な作製パラメータである電流密度とHF水溶液濃度を系統的に変化させて多孔質シリコンの作製を行った.特に化成は一定温度のHF水溶液中で均一な電流密度分布の条件のもとで行われた.本論文では化成時の作製条件から直接得られる諸性質である解離原子価,多孔率,層厚形成効率の作製条件依存性を示した.これに加えて硬度の計測結果から求められた多孔質シリコンの力学的強度と,一般に用いられている2次元正方格子状に配列した穴の円筒モデルから求められた多孔質シリコンの自立限界についての比較を試みた.
著者
窪野 隆能 赤池 務
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-II, エレクトロニクス, II-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.77, no.9, pp.377-383, 1994-09-25
被引用文献数
5

陽極と陰極の電極材料がアーク放電にどのような影響を及ぼすかを調べる目的で,AgとCuを組み合せた電極対で直流30V-3Ω抵抗回路の遮断のみを30回行い,アーク放電継続時間と陰極近傍の光スペクトルの強度波形を測定した.開離時アークにおける開離動作回数と放電継続時間との関係,開離動作回数と検出スペクトルの種類およびそれらの強度との関係を調べた.陰極にAg電極を使うと陰極Cuの場合よりもアーク継続時間が長い.陽極Cuと陰極Agの異種金属電極対の場合はAgスペクトルのみ現れ,Cuスペクトルは検出されなかった.陽極Agと陰極Cuの異種金属電極対の場合は少数回の開離時にCuスペクトルのみ出現したが,開離動作回数が多くなるとAgスペクトルが放電後期から出現するようになり,開離動作数が30回程度になると放電初期からAgスペクトルが出現し,その強度は強かった.これらの現場は,AgとCuの蒸発量の違い,開離時アークの転移方向に関する二つの特徴および転移量によって引き起こされたと考えた.
著者
遠田 利之 執行 直之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-II, エレクトロニクス, II-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.79, no.6, pp.244-251, 1996-06-25
被引用文献数
4

ディープサブミクロンCMOSの実現における重要な課題の一つが,pMOSでの埋込チャネルと表面チャネルの選択である.これまで,埋込チャネルは微細化や低電圧化が難しいと考えられてきた.これは,短チャネル効果が顕著であり,Sスイング(Subthreshold-Swing)も大きいからである.但し,従来の検討は埋込層が深い場合に対して行われた.微細化に伴い接合は浅くなるが,埋込層が浅い場合の検討は充分ではなかった. そこで我々は,埋込チャネルのSスイングおよび短チャネル効果の,埋込層およびソース/ドレーン接合深さ依存性をシミュレーションにより解析した.この結果,埋込層が完全に空乏化する程浅ければ,表面チャネルよりもSスイングが低下し,サブスレッショルド特性が急しゅんになることがわかった.すなわち,Sスイングを極小とする最適構造は表面チャネルでなく,埋込チャネルにあることを初めて見いだした. この構造をCDSC(Counter-Doped Surface-Channel)と呼ぶ.更に,ソース/ドレーンを埋込層より浅くすれば,短チャネル効果も表面チャネルより抑制できることも明らかになった.すなわち,CDSCはディープサブミクロンに適用できるpMOSとして有望である.
著者
長岡 新二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-II, エレクトロニクス, II-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.649-656, 1996-11-25
被引用文献数
18

光スイッチは光通信システムの高信頼化や各種光測定機器類の機能拡張に不可欠な光デバイスであり,実用的な光スイッチの実現が望まれている.このため,マイクロマシン技術の応用により小型で高性能な自己保持型単一モード光ファイバスイッチの開発を行った.本論文では,この光ファイバスイッチの光学設計や機構設計条件につき述べると共に,作製したスイッチの諸特性ならびに応用技術例を示す.微小な磁性膜パイプを装着した可動ファイバを永久磁石とソレノイドコイルからなる磁気回路で駆動する構造の1×2自己保持型光スイッチを構成した.試作スイッチは挿入損0.34dB,反射減衰量49dBなどの優れた光学特性をもっている.また,最小駆動電力は15mA×0.6Vであり,動作速度は2ms以下であった.1億回の連続動作や各種の環境試験を実施した結果,破損事故や特性劣化は認められず,高安定で高信頼であった.冗長構成の光送信装置へのスイッチの適用例を示すと共に,本スイッチの構成法がスイッチの高性能化と応用分野の拡大に適することを指摘した.
著者
冨田 安志 池田 一二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-II, エレクトロニクス, II-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.77, no.11, pp.525-527, 1994-11-25

電流フォロワ付カレントコンベア2個用いて,電流信号源として適する低出力アドミタンス可変低周波CR発振器の一回路構成を提案する.