著者
片岡 恵理 大川 洋子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 = Maternal health (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.137-143, 2010-04-01
参考文献数
10
被引用文献数
1

本研究は女子中学生を対象に,体重の減量願望に関連する背景と健康意識を明らかにすることを目的とした。研究方法はF県内2・3年生の女子中学生に無記名式質問紙調査を行い,有効回答268名を分析対象とした。女子中学生はBMIが「痩せ・標準」であっても体型の主観的評価は,「太った体型」ととらえる者が多かった。また,70.1%の中学生が減量を望み,痩せた体型を肯定していた。学年別では2年生より3年生が痩せの肯定感が高く,減量を望む者が多かった(p<0.01)。このことから,女子中学生は体重増加とともに自分の体型に否定的となり,体重を減らしたいと望む者が多くなることが示唆された。つぎに,51.9%の女子中学生が,思春期の体重増加は性成熟のために大切であると認識していたが,体重の減量願望をもつ者は,体型に対して否定的で痩せ志向も高かった。しかも,女子中学生にとって体重増加が大切という認識をもつ者は少なかった。その反面,痩せ過ぎは貧血,骨折,月経が止まるなど健康上の問題を意識していた(p<0.05)。以上のことから,女子中学生に対する健康教育として性成熟に向けた体重増加の必要性を正しく理解させることが重要である。