著者
大川 浩司 菅原 眞冶 高市 益行 矢部 和則
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.449-454, 2007-07-15
参考文献数
19
被引用文献数
3

施設内における高温および低温条件が,単為結果性トマト'ルネッサンス'の着果および果実肥大特性に及ぼす影響について検討した.日最高気温の平均値が39.2℃の高温条件において,'ルネッサンス'は単為結果性の安定した発現により100%着果し,発育不良果の発生もみられなかった.同条件において,非単為結果性トマト'桃太郎ヨーク'は受精できず,4CPA液の処理なしでは果実が正常に肥大しなかった.一方,日最低気温の平均値が5.9℃の低温条件においても,'ルネッサンス'は単為結果性の安定した発現により100%着果し,発育不良果も発生しなかった.同条件における'桃太郎ヨーク'は,受精が不完全となって,発育不良果が61%発生し,果実の正常な肥大には4CPA液の処理が不可欠であった.上述したような高温および低温条件において,'ルネッサンス'は受粉や合成オーキシン処理を省略しても果実は正常に肥大したことから,非単為結果性トマトに比べて栽培適応性か広く,生産性の高い栽培が可能と考えられる.