著者
近藤 慶之 直井 正俊 小山 勝宏 藤井 敏弘 大木 幸介
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.467-471, 1985-07-25 (Released:2010-02-26)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

ブタ脳カルモデュリン (CaM) の種々の界面活性剤によって誘起されるコンホメーション変化について, 螢光スペクトル, 円偏光二色性 (CD) の測定により検討した. Tween系, TritonX100などの非イオン性界面活性剤は, CaMのコンホメーション変化に影響をおよぼさなかった. 陰イオン性界面活性剤のドデシル硫酸ナトリウム (SDS) やドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム (SDBS) を加えた場合, 大きな構造の変化が観察された. Ca2+存在下および非存在下において, 1mMSDSはα-helix含量の増加を引き起こし, Ca2+存在下ではα-helix含量は42%であった. SDBSの場合, その濃度が増すとα-helix含量は減少し, 12mMではCa2+の存在, 非存在にかかわらずCDはランダムコイルの曲線を示した. 陽イオン性の塩化ベンザルコニウムは弱い変性作用を伴ってCaMの規則構造の破壌を促進する. これらの事は, 螢光スペクトルの測定によっても裏づけられた.
著者
大木 幸介
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.107-110, 1987-04-20 (Released:2017-07-13)

分子生物学の発展と人間の脳内を直視できるペット技術の進歩は, 人間の脳から, 心を分子レベルで解析することを可能にした。この時, 人間の脳の中心部にあり, 生命を維持する脳幹の神経で, 全脳へ神経線維を張り巡らせた神経群があって, 睡眠・覚醒(かくせい)から感情の表出まで行っている。このような神経の中に, 快感を誘い, 人間の精神系だけに分布したA_<10>神経がある。この神経とそれを活動させるドーパミン分子を中心に, 人間の快感から人間の創造性を, 分子レベルで解こうと試みるものである。