- 著者
-
大木 幸子
星 旦二
- 出版者
- 日本NPO学会
- 雑誌
- ノンプロフィット・レビュー (ISSN:13464116)
- 巻号頁・発行日
- vol.6, no.1+2, pp.25-35, 2006 (Released:2006-12-19)
- 参考文献数
- 25
本研究は都市での住民による健康な地域づくり活動を取り上げ,活動を担っている住民のエンパワメントの過程及びコミュニティの生成過程を抽出することを目的とした.その上で健康な地域づくり活動による公共性形成の可能性を考察した.調査協力者は2つのグループのボランティ14人であり,半構造化面接によりデータを収集し,修正版グラウンデッド・セオリーにより分析した.その結果,担い手のエンパワメント過程では〈地域の風景の存在〉,〈内なる対話〉,〈他者との対話〉,〈地域とつながる自己像の獲得〉のカテゴリーが得られた.他方,コミュニティの生成過程として〈他者との対話〉,〈地域のまなざしの醸成〉,〈地域のアクチュアリティの深化〉,〈地域の解決力の形成〉が抽出された.これらの2つの過程は〈他者との対話〉を結節として循環していた.またこのようなエンパワメントされた地域づくり活動は,縁側機能,対話,協働,交流を基軸にして小さな公共性を形成する活動として位置付けられる可能性が示唆された.