著者
杉野 未奈 山室 涼平 小林 素直 村瀬 詩織 大村 早紀 林 康裕
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.16, no.10, pp.10_69-10_85, 2016 (Released:2016-11-28)
参考文献数
19
被引用文献数
10

2016年熊本地震における木造建物の被害の要因を分析することを目的として、益城町で建物被害が大きかった範囲を対象に空中写真により建物の建築年と倒壊の判定を行った。その結果、倒壊被害集中域は帯状であり前震と本震でずれがあることがわかった。また、倒壊建物と地盤の常時微動計測結果・建築年・観測地震動との関係を分析し、観測地震動の擬似速度応答スペクトルのピーク値と倒壊率との相関が高いことなどを明らかにした。さらに、1981年の新耐震設計法施行後に建てられた築1982年以降の木造建物でも倒壊した地域があり、倒壊率が最も高い地域では築1982年以前と以降で倒壊率に大きな差がなかった。