著者
大松 亨介
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.492-495, 2016-10-20 (Released:2017-04-03)
参考文献数
6

反応活性の高いレアメタルを用いた遷移金属触媒は,いまなお化学合成における主役であるが,金属元素を一切含まない有機分子も,化学反応をコントロールする触媒としての機能を秘めている。本稿では,キラルと呼ばれる性質をもった有機分子の重要性と,キラルな分子の化学合成で活躍している有機分子触媒に焦点を当てる。
著者
大松 亨介
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、分子内にキラルアンモニウムイオン部位を有するホスフィン配位子、「キラルアンモニウムホスフィン複合型配位子」を新たに創製し、そのパラジウム錯体を触媒とする不斉環化付加反応を用いて二連続不斉四級炭素構築法を開拓することに成功した。本法では、パラジウムとアンモニウムイオン及びハロゲン化物イオンの協働作用が鍵であり、配位子の同一分子内にキラルアンモニウムイオンを組み込むことで、複数の絶対立体化学を独立にかつほぼ完璧に制御し得る強力な不斉触媒システムを開発した。また、本触媒システムを応用することで、光学活性イミダゾリジン類縁体の効率的不斉合成を達成した。