著者
吉村由利香 大江 猛
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3+, pp.185, 2018-05-01 (Released:2018-07-17)
参考文献数
3

現在,最も普及している照明用白色LEDは青色ダイオードとこれを励起光とする黄色蛍光体による疑似白色光である.このLEDの光色は人間の脳には白と認識されるが,物体色の見え方は従来白色光と異なっている.そこで,本研究ではLEDの疑似白色光のスペクトル波形がその照明下の物体色に及ぼす影響について検討した.LEDの450nmのピーク強度を減少させた場合,赤系の物体色ではa*値が増大し,青系では逆にa*値が減少した.L*値とb*値への影響はほとんどなかった.これらは,450nm付近に感度を持つ三刺激値(X値,Z値)の変化に起因するものと考えられた.この物体色と太陽光(D65)との色差⊿E*値を算出すると,450nmのピーク強度を85%程度に低下させた場合に,赤系以外の物体色では⊿E*値が小さくなり,太陽光との見え方に近づく結果が得られた.一方,550nmのピーク位置を長波長側にシフトさせた場合,赤の色相ではa*値の減少とb*値の増大,青の色相の場合には,逆にa*値の増大とb*値の減少が認められた.これらの変化はいずれも彩度の高い物体色ほど顕著になることが分かった.
著者
大江 猛
出版者
地方独立行政法人大阪市立工業研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

ナイロン繊維を段ボール箱などのケースに長期間保存すると、木材や紙に含まれる芳香族アルデヒド類とポリマー末端のアミノ基が反応することによって、繊維が黄変することが知られている。そこで、本研究では、シックハウス症候群の原因物質であるホルムアルデヒドの代替として、より安全な糖類との反応を利用したナイロン繊維の黄変防止技術の開発に取り組んだ。その結果、有機溶媒あるいはハイドロサルファイトを含む水溶液中で、還元糖とナイロン繊維の末端アミノ基を反応させることによって、副反応で生成するメラノイジンによる着色を防ぎながら、ナイロン繊維へ黄変防止機能を付与することができた。