著者
須田 和代 森 由美子 調 広子 大池 正勝 山本 節
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.151-158, 1992-11-20 (Released:2009-10-29)
参考文献数
24

従来,心因性視力障害患者の視野には管状視野・螺旋状視野・求心性狭窄等の特有なものが検出されることがあるとの報告がされているが,視野とは視覚感度の分布であるという定義に基づくと,その視野には矛盾する点がみられる。我々は心因性視力障害疑いの患者に対しても,本来の概念に基づいて視野検査を行ってきた。その結果,他院から異常視野として紹介された症例も含め,全例正常視野を得,他の器質的疾患を否定する一助に充分なり得た。特有な視野が心因性に限るものではないことから,心因性視力障害疑いの患者に対しては,その心因的要素を取り除くよう配慮し,可能な限り正確に診断できる検査結果を得るべく努力すべきであると考える。