- 著者
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大河原 良夫
- 出版者
- 福岡工業大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2014-04-01
フランスは、近年、苦しまずに終末期を迎え,できれば意図して死を迎えることを社会全体として,積極的安楽死を排除したうえで,それに代わるものを本気で模索し始めている。そこでの問題解決への模索・もがきを跡づけながら,前年度まで総論的に俯瞰してきた研究成果にひき続いて,最終年度になる本年度は,人の最期の生のあり方を医療との関係で,各論として,その後の二つの新展開をも加える形で,最終年度の全体的考察を行なったものであった。その具体的内容構成は次の通りであるが,まず,序として問題枠組を提示して,セデーション法制改革が,権利としてのセデーションへの露払いとなった意義を明らかにした。そして,つぎに終末期医療におけるセデーションの意義、あり方を分析し、その二重効果的治療性とその決定プロセスをみた。そのうえで,「ターミナル・セデーションを求める権利」論の拡がりを、Sicard報告書による提案による議会上程までの前哨戦→Leonetti bis法案による立法提案→国家諮問倫理委員会答申による提案→Claeys-Leonetti報告・法案による最終立法提案の諸段階にわけて,さらに本戦たる議会審議およびランベール事件のヨーロッパ人権裁判所判決までの新展開の分析までを考察に入れることができた。結びとして、フランス型安楽死への道として、ターミナル・セデーションの権利化だけでなく,医プロフェッションの自律の減退をも言及考察したことは重要な意義があるものと思われる。