著者
鶴見 友子 大津 敏 池田 修 崎尾 秀彰
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.176-181, 2007 (Released:2007-03-30)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

待機的胃癌手術に持続硬膜外麻酔併用全身麻酔を行ったところ, 術直後からTh10以下の感覚および運動神経麻痺を呈した症例を経験した. 術後の硬膜外造影で血腫は否定された. MRIおよび脊髄造影の所見から脊髄動静脈奇形 (arterio- venous malformation: AVM) と診断した. 胸髄完全麻痺のため, 外科的治療の適応がなく, 治療はメチルプレドニゾロンの大量投与とリハビリとなった. 2ヵ月後対麻痺が回復することはなく, 合併症の悪化により死亡した. あらかじめ無症候性の脊髄AVMを診断することは困難であるが, 硬膜外麻酔後に対麻痺が出現したときには留意すべき疾患の1つと考える.