著者
太田 彦人 大津留 修
出版者
科学警察研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

1.トリカブト毒国産トリカブトから、トリカブトの既知猛毒成分アルカロイドアコニチン類6種を全て得た。これらの代謝物(8-ヒドロキシ体)6種及び最終代謝物(8,14-ヒドロキシ体)4種を全て合成した。さらに定量用内部標準物質として、8-アルコキシアコニチン類数種、及び現在最も定量精度が高いとされる重水素化アコニチン類も併せて合成した。以上の化合物を用いて、市販のOasis HLBカートリッジを用いた、血液や尿等の生体試料からの迅速固相抽出法を開発した。さらに、安価に普及しているODSカラムを用いたLC-ESI-MS/MS高感度一斉微量分析法も開発し、生体試料より迅速かつ容易にトリカブト毒及びその代謝物を検出・同定・定量することが可能となった。各成分の検出下限はng/mLオーダー以下であった。2.バイケイソウ毒国産バイケイソウより、幼若アルカロイド、催奇形性有毒アルカロイド、エステル型猛毒アルカロイド計11種を得た。これらを用い、トリカブト毒同様の固相抽出-ODS-LC-ESI-MSIMS分析法を用いて、血液や尿等の生体試料から全成分を迅速に分離検出・定量できる分析法を開発した。内部標準物質はメチルリカコニチンが最も適切であった。各成分の検出下限はng/mLオーダーであった。3.アセビ毒古来より有毒植物として知られるアセビの毒もまた、分析の困難なテルペノイド系神経毒である。アセビ毒を経口服毒した事例において、服毒したアセビについて、植物粉砕粉末化装置を応用してアセビ毒を検出定量することができ、また世界で初めてヒト胃内容からアセビ毒を検出・定量し、さらにヒト胃液中におけるアセビ毒の変化及び強毒化の様子を明らかにした。