著者
内田 智之 井上 盛浩 華 見 田島 将吾 大田 泰徳 萩原 政夫
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.624-629, 2017

<p>5年前から関節リウマチ(RA)の加療中で,2年前に悪性リンパ腫の発症が疑われたが確定診断には至らず,抗リウマチ薬(メソトレキセート(MTX),アバタセプトとプレドニゾロン)の休薬で自然寛解していた。今回発熱と脾腫で再燃し,脾生検による病理組織学的検査でEpstein-Barr virus encorded RNA(EBER)が陰性で,CD3−,CD56+,細胞障害性顆粒(TIA-1)が陽性でありchronic natural killer lyphoproliferative disorderの診断を得た。繰り返し共通の染色体複雑核型異常を認めたため,リンパ系悪性腫瘍と判断し,化学療法を開始するも反応不良で早期に死亡した。RAに合併するMTX関連リンパ増殖性疾患(LPD)はB細胞性が主であり,NK細胞性はまれである。さらにNK細胞性LPDの全てでEBV陽性であり,EBV陰性例は調べた限りで報告はない。</p>