著者
大石 直記
出版者
日本生物環境工学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.125-132, 2016-09-01 (Released:2016-09-01)
参考文献数
13
被引用文献数
6 4

トマトの温室栽培において植物群落の葉面積指数(LAI)を非破壊的に評価するため,散乱光センサを開発した.本センサは,直達光を防ぐ黒色遮光枠(100 mm × 100 mm × 100 mm)の内部にシリコンフォトダイオードを取り付けただけの構造である.本センサはその開口部を北方向に向けて植物群落内(PL)および群落外(PU)に設置し,光量測定を行った.本センサによる温室内の光量(PU)は,温室内の骨材や保温資材のような遮光物の影響を受けずに温室外日射量と同様なパターンで変化した.トマトの3段摘心栽培において散乱光センサによって求めたRLI(%;PL/PU × 100)は,日中の時間帯では一定値を示した.トマトの栽培条件(季節,N供給量)に関わらず,トマト定植後のRLIはLAIの増加とともに減少し,平均RLIの自然対数値(ln(Avg. RLI))とLAIとの間に直線的な負の相関関係がみられた.以上から,散乱光センサを用いることによって,トマトの温室栽培におけるLAIの非破壊評価が可能と思われた.