著者
川﨑 采香 佐久間 尚子 大神 優子 鈴木 宏幸 藤原 佳典
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, 2019

<p>日常記憶の加齢変化を調べるため、ボランティア研究に参加した高齢者を対象に日本版リバーミード行動記憶検査(RBMT)の「物語」再生による10年間の縦断的変化を検討した。初回(BL)の年齢分布に基づき、3群(age1:55名(56〜64歳)、age2:56名(65〜69歳)、age3:46名(70〜81歳))に分けた。BLと10年目(F10)の再生内容を25項目別に1点(正再生)・0.5点(類似再生)・0点(誤再生/言及なし)に採点し、3群別の25項目別正答率を求めた。この正答率を従属変数とする3群×2検査回の反復分散分析の結果、群の主効果(p&lt;.01)、群×検査回の交互作用(p&lt;.001)が有意であり、F10でage3の正答率が減少した。また、25項目別の正答率を10%ランク別に区切り、BLとF10のランク変化を見たところ、age1では上昇9項目/下降2項目に対し、age3では上昇2項目/下降6項目であったが、age3の下降は正答率80%以上で2項目、50%未満で3項目だった。以上より、日常記憶の加齢変化は緩やかに生じ、記憶容量が減少することが示唆された。</p>
著者
大神 優子
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 = The journal of Wayo Women's University (ISSN:24326925)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.75-85, 2017-03-31

本研究の目的は、保育実習生の学習段階をはかる簡便な指標を作成するための基礎資料を得ることである。制限時間内にできるだけ多くの単語をあげる語想起課題の手法を用いて、保育環境課題(保育室・園庭)及び統制課題(動物・音韻カテゴリ(か))の計4課題を実施した。大神(2016)で実習前・見学実習後の2時点を比較した保育学生42人を責任実習後まで追跡し、3時点を縦断的に比較した。その結果、特に保育室課題で、実習後の反応数が増加していた。見学実習後と責任実習後では量的には差がなかったが、生成された語を「玩具」「生活用品」等のカテゴリに分けて分類したところ、各実習での特徴が明らかとなった。これらの生成カテゴリの違いは、実習段階の違いを反映したものと解釈された。さらに、実習生だけではなく、保育者までを対象として保育環境知識をはかる場合の課題及び分析手法の改善点について論じた。