著者
大竹 光寿
出版者
日本消費者行動研究学会
雑誌
消費者行動研究 (ISSN:13469851)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.2_51-2_74, 2010 (Released:2018-08-31)
参考文献数
41

本研究では、ブランド・コミュニティ内の消費実践に着目し、複数の消費者によってブランドの意味が創造されるという創発的な現象を探求する。自動車MINIに関する広告の内容分析とブランド・コミュニティでの8カ月に及ぶフィールド調査によって明らかにされたのは、オーナーたちが企業の意図とは異なる意味を創造している点である。具体的には、製品のカスタマイズ、他のブランドやその所有者からの差別化、社会的絆の構築という相互関連した3つの消費実践を通じてブランドの意味が創造されている。
著者
大竹 光寿
出版者
日本商業学会
雑誌
流通研究 (ISSN:13459015)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.1-15, 2017 (Released:2018-06-30)
参考文献数
86

本論文では,既存ブランドの海外展開をきっかけにしてブランド・アイデンティティが再構築され,企業成長を遂げていくプロセスを検討する。特に注目するのは,市場環境が変化しているのにもかかわらず,ブランドに対する信念や組織能力,ブランド・イメージに捕らわれるあまり,ブランドの革新が進まず,従来の組織活動が継続してしまうという慣性である。こうしたブランド・マネジメントの慣性は,ブランドの原点に立ち返りそれを現在直面している状況に合わせて解釈するという創造的原点回帰を通じて,ブランドの理想像としてのブランド・アイデンティティが再構築されることで緩和されうる。国内外で生じた慣性が相互に緩和されることで企業成長が実現されていく点が示される。